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医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。弁護士法人 河原町総合法律事務所。


by 弁護士 赤井勝治

医療機関に対する情報照会について(4)

 前回は、裁判所、警察・検察庁、弁護士会のいずれからの照会に回答をしても、秘密漏示罪に問われる可能性はほとんどないのに対して、個人情報の保護に関しては、個人情報保護法には違反しないとしても、個人のプラバシー権を侵害したとして、民事上の損害賠償を請求されるおそれがあるというところまでを述べました。

 この点、そもそも個人情報保護法は、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めたものです。

 この法律では、個人情報が漏洩した場合に、それによってプライバシー権等を侵害された者からの損害賠償などについては規定されていません。
 そのような場合については、民法の規定に従うことになり、不法行為(民法709条)が成立する場合には、プライバシー権等を侵害された者からの損害賠償請求が認められます。

 ここに不法行為が成立する場合とは、故意又は過失によって情報を違法に漏洩し、これによって他者のプライバシー権等を侵害して精神的苦痛を与えるなどの損害を生じさせた場合が想定されます。
 ただし、これまで述べてきた照会に対する回答のように「法令に基づく場合」には原則として違法ではないと考えられるので、不法行為は成立しない場合が大半であろうと考えられます。

 しかしながら、たとえ「法令に基づく場合」であったとしても、正当な目的や必要性がなく、また必要な範囲を超えて個人情報を漏洩したような場合には、もはや違法でないとは言えなくなるため、損害賠償請求の認められる余地が出てきます。

 この点、「個人情報保護法に関するQ&A」の記載については、これを鵜呑みにするのではなく、きちんと内容を理解する必要があります。

 上記のように個人情報を開示した場合、その開示について、正当な目的や必要性が認められ、必要性の認められる範囲で開示をしていれば、たとえ個人のプラバシー権等を侵害したとしても、民事上の不法行為は成立せず、損害賠償責任を負うことはないものと考えられます。

  赤井・岡田法律事務所
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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
by motomame | 2015-10-22 09:00