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医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。弁護士法人 河原町総合法律事務所。


by 弁護士 赤井勝治

損害賠償における「損害」について(1)

 医療事故が発生し、医療機関側が患者側に対する損害賠償責任を負わなければならない場合、その賠償しなければならない「損害」は、債務者である医療機関側に過大な負担を課さないようにとの趣旨から、法律上、社会的に見て、医療機関側の注意義務違反と相当な因果関係の範囲内にあるものに限定されています。

 注意義務違反と相当な因果関係の範囲内にある「損害」としては、①治療費、②付添看護費、③入院雑費、④休業損害、⑤逸失利益、⑥慰謝料、⑦葬儀費などがあります。

 それぞれの「損害」の額の計算は、実務上、裁判例が多数蓄積されている交通事故における「損害」の計算方法に準じて行われています。

 ①の治療費は、原則として、医療事故の被害にあった患者に対し、事故による症状の改善を期待できる治療ができなくなった(症状固定)時点までに実際にかかった治療費をいいます。
 死亡事案であれば、患者が死亡に至るまでの治療費がこれにあたります。
 死亡事案でない場合には、上記の症状固定をしない限り、治療費金額を確定できませんから、それまでは治療費の賠償請求は原則としてできません。
 もっとも、示談交渉に際しては、将来確実に支払うべき治療費(諸事情を考慮しても「払い過ぎにならない」範囲の治療費)について、交渉の途中であっても一時金(内金)として支払われることがあります。

 ②の付添看護費は、患者の症状がとくに重く、看護師による一般的な看護では足りないと客観的に判断される場合、職業付添人や近親者付添人の費用が損害として認められることがあります。

 ③の入院雑費は、裁判においては、入院期間中日額1500円の入院雑費が認められることが多いですが、患者の症状によりそれ以上の特別な支出が必要な場合には、その支出に関しても損害として認められることがあります。

 ④の休業損害は、患者が医療事故に遭い、これを原因とする休業によって発生した収入の減少部分をいいます。
 給与所得者の場合、原則として、医療事故前の収入を前提に、当該事故が原因で休業したことにより、実際に減少した収入額及び、有給休暇を使用して治療等をしたときにはその有給休暇相当分として1日分の収入額に有給休暇日数を乗じた金額が損害として認められます。
 事業所得者の場合、原則として、医療事故により直接生じた実際の収入減少額等が損害として認められることになります。
 専業主婦(主夫)の場合には、医療事故前の具体的収入のないのが通常ですが、一般的な平均年収額などを用いて休業損害額(家事に従事できなかったことによる損害額)が算出されることが多いようです。

  赤井・岡田法律事務所
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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
by motomame | 2014-11-20 09:00