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医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。弁護士法人 河原町総合法律事務所。


by 弁護士 赤井勝治

医療機関における個人情報管理(2)

 それでは、今回は、具体的な個人情報の取り扱いについて考えてみます。

 まず、患者さんのご家族に対する開示についてですが、この場合でも、原則として患者さん本人に開示の対象を確認したうえで、患者さん本人の同意が必要となります。
 例えば、未成年の患者さんが産婦人科を受診して、妊娠が判ったとき、親には秘密にしておいて欲しいと言われた場合には、その未成年の患者さんの承諾なしに親に開示することも原則として許されないことになります。
 しかし、未成年者の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合には、承諾なしでも開示することができます。具体的には、妊娠状態を続けることにより未成年者の身体が危険にさらされ、人工妊娠中絶をする必要があるが、未成年者にはその是非を理解することが困難な場合、親に開示をして未成年者に説明をしてもらうことが許されると考えられます。

 では、患者さん本人が意識不明で同意がとれない場合はどうでしょうか。
 この場合は、①患者さんの家族であることを確認した上で、治療に必要な範囲の情報提供・取得を行う、②患者さん本人の意識が回復した際、提供・取得した個人情報の内容とその提供・取得の相手方について説明する、③患者さん本人からの申し出があれば、個人情報の訂正、家族などの対象者の変更を行う、という3つの要件を充足していただく必要があります。

 次に、患者さんのご家族以外に開示する場合を考えてみます。
 患者さんの診療情報を学会で発表する場合はどうでしょうか。
 この場合、十分な匿名化(氏名や顔写真を消去する)がなされていれば、同意は不要となります。
 ただし、大変珍しい疾患や受傷部位であることから、患者さんが特定される可能性がある場合には、患者さんの同意をもらっておく方が望ましいと考えられます。

 また、保険会社から開示を求められた場合は、患者さんから同意を取ることが必要となります。そして、保険会社から同意書を提示したり郵送してくることもありますが、そのような場合でも患者さんには必ず確認の連絡をしてもらいたいものです。
 もし、患者さんに確認をせずに勝手に開示を行い、後で患者さんから以前は同意していたのが現在は同意していないなどとクレームがついたら、いささか面倒なことになりますから、注意が必要です。

 さらに、患者さんの職場から、開示を求められた場合はどうでしょうか。この場合も本人の同意を取っていただく必要があります。
 もし、勝手に開示を行い、その医療情報が患者さんの昇進などの人事考課に影響してしまうと大きな問題になるおそれがあります。職場からの問い合わせは慎重に対応していただくようお願いいたします。

 以上のように患者さんの個人情報については、慎重な取り扱いが要請されます。

  赤井・岡田法律事務所
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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
by motomame | 2014-09-11 09:00