医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。赤井・岡田法律事務所HP: http://www.akai-okadalaw.com


by 弁護士 赤井勝治

相続について(3)

 前回の法定相続人にあたるのは誰かの続きです。

 法定相続人の第2順位は、父母や祖父母であり、これらの者を「直系尊属」と呼びます。
 なお、父母のうちの一名でも存命であれば、祖父母は相続人にはなりません。

 第3順位は、兄妹姉妹(けいていしまい)、つまり「きょうだい」です。
 この兄弟姉妹については、相続開始時(兄妹姉妹の一人が亡くなったとき)に、すでにこれを相続する兄妹姉妹が亡くなっている場合には、その子、すなわち、甥や姪が相続人となります。

 ただし、子の場合と異なり、兄弟姉妹についてはこの甥や姪までで、この甥や姪が亡くなっている場合、その子は相続人にはなりません。
 兄弟姉妹の代襲相続は甥や姪までとなります。

 そして、ここからが誤解されていることの多い点なのですが、この第1順位から第3順位までの相続人については、上位順位者が一人でもいれば、下位の順位者は相続人にはなりません。

 たとえば、子が一人でもいれば、その子だけが相続人になり、父母や兄妹姉妹は相続人にはなりません。

 具体的な例としては、ある男性が亡くなって、その妻と子が一人いれば、法定相続人は、その妻と子のみであり、父母や祖父母、兄妹姉妹がいても、それらの人たちは相続人にはなりません。

 ここまでを簡単にまとめますと、夫や妻は常に相続人となります。
 そして、子がいればその子だけが相続人となります。
 その子がすでに亡くなっていて孫がいる場合にはその孫が、孫がすでに亡くなっていてひ孫がいる場合には、そのひ孫が相続人となります。
 子や孫が一人もいなければ、父母が相続人となります。
 父母が二人ともすでに亡くなっていれば、祖父母が相続人となります。
 そして、子や孫が一人もおらず、父母や祖父母も全員亡くなっている場合には、兄妹姉妹が相続人となります。
 その兄妹姉妹がすでに亡くなっていれば、甥や姪が相続人となります。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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# by motomame | 2016-12-22 10:00

相続について(2)

 最初に、法定相続人にあたるのは誰かを考える必要があります。

 法定相続人とは、法律上、相続人であるとして定められている者で、推定相続人と呼ぶこともあります。

 この点は、意外と誤解されている方がおられ、実は相続人にあたらない方が自分は相続人だと思っておられる例が散見されます。

 まず、夫や妻(これを配偶者といいます)は、法律上、常に相続人になります。
 籍を入れていない内縁関係にあるだけでは、世間一般には夫や妻と呼ばれていても、相続人にはなりません。

 配偶者以外については、第1順位から第3順位までの順位をつけて、相続人になる者が定められています。

 第1順位は「子」です。
 血のつながりのある「実子」だけでなく、養子縁組をした戸籍上の「養子」も含みます。

 もし、親が亡くなって相続が開始したとき、すでに子が亡くなっている場合には、その子、すなわち孫が相続人になります。
 そして、孫も亡くなっていれば、ひ孫というように制限なく下へ下へと降りていきます。
 これを「代襲(たいしゅう)」相続と呼びます。

 このような代襲相続がおこる原因としては、本来であれば相続人になるはずである子の死亡だけでなく、その子が「欠格」や「廃除」といった法律上の制度によって相続資格を失った場合も含まれます。

 ただし、その子が相続放棄をした場合は含まれません。
 すなわち、本来ならば相続人になるはずである子が相続放棄をした場合には、その子(孫)は相続人にはなれません。

 なお、ここでは詳しくは触れませんが、「欠格」とは、一定の事実がある場合に法律上当然に相続資格を失う制度であり、「廃除」とは、被相続人の意思によって相続資格を失わせる制度で、いずれも民法に規定がおかれています(891条~893条)。

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# by motomame | 2016-12-15 09:00

相続について(1)

 過去に医療機関の事業承継をテーマに取り上げましたが、この事業承継は「相続」という制度を前提にしています。

 病院を経営する医師の方々とお話しをしていると、そもそも「相続」についての知識が不十分なため、いきなり事業承継の話をされても容易に理解するのが困難だとの声をお聞きします。

 そこで、今回は、「相続」についての一般的な知識を、できる限り分かり易く説明しておきたいと思います。

 この知識を前提に、今後、事業承継等についてお考えいただければと思います。

 事業承継においても、病院や診療所の土地・建物といった不動産や医療機器等の動産類、あるいは医療法人の場合には、いわゆる出資持分といった財産の相続が重要な要素となるからです。

 人は、生まれてきた以上、誰もが例外なく、いつかは人生を終えます。

 そのときに、その人が遺した財産がどのように引き継がれるのかという問題が「相続」であり、「相続」に関しては民法がそのルールを定めています。

 この「相続」の一般的な知識を、「相続」が発生した場合に考えるべき実践的な順序にしたがって説明していくことにします。
 具体的な内容は、次回からです。

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# by motomame | 2016-12-08 09:00
 使用者は、労働契約法で、労働者が労働するにあたって、その生命、身体等の安全を確保するよう配慮すべき義務が定められています。
 そして、その具体的な内容の一つとして、労働者にとって働きやすい環境の職場を保つよう配慮する義務が、使用者にはあるものと考えられています。

 近時の裁判例では、職場におけるパワー・ハランスメントを防止する義務に言及するものも見られるようになってきました。

 また、セクシャル・ハランスメントについては、雇用機会均等法が、職場における性的言動によって労働者が不利益を受けたり、就業環境が害されることがないよう雇用管理上必要な措置を講じなければならないと定めています。
 そして、厚生労働省から、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」というものが出されています。

 この指針では、事業主がすべき配慮について、次のように定められています。
① 事業主の方針を明確化し、その周知・啓発をすること
 例えば、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のために職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する事項を記載し、配布することなどです。
② 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること
 例えば、相談・苦情に対応する担当者をあらかじめ定めておくことや、苦情処理制度を設けることなどです。
③ 職場におけるセクシュアル・ハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応をすること

 そのほか、職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する情報が当該労働者等のプライバシーに属するものであることから、その保護に特に留意する必要があります。また、相談をし、又は苦情を申し出たこと等を理由として当該労働者が不利益な取扱いを受けないよう特に留意する必要があります。

 さらに、マタニティー・ハランスメントについては、雇用機会均等法及び育児・介護休業法により、女性労働者の妊娠・出産・育児休業等を理由に解雇その他不利益な取扱を禁止しています。

 また、これらの法律により、事業主は、上司・同僚などが職場において、妊娠・出産・育児休業等を理由として就業環境を害する行為を行わないよう防止措置を講じなければならないとされています。

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# by motomame | 2016-12-01 09:00
 セクシュアル・ハラスメントについては、男女雇用機会均等法で、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けること(対価型)、及び当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること(環境型)と定義されています。

 ここに「性的な言動」とは、性的な内容の発言や行動を言います。

 上記の対価型は、職場内において使用者が労働者に対して性的な関係を要求したところ、拒否されたために当該労働者を解雇する場合など、意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が労働条件等で不利益を受けることです。

 環境型は、労働者が抗議しているにもかかわらず、職場内にヌードポスターが掲示され、そのために当該労働者が苦痛に感じ、業務に専念できない場合など、意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなり、当該労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じることです。

 そして、どのような場合に違法な侵害があったと言えるのかは、セクシャル・ハランスメントの場合も、社会通念からみて相当性を逸脱しているか否かの観点から判断されることになります。

 マタニティー・ハランスメントについては、①職場における女性に対する妊娠・出産・育児休業等を理由とする解雇等の不利益取扱、及び②職場における女性の妊娠・出産・育児休業等について、身体的・精神的苦痛を与えることや就業環境を害する言動の2つの類型があるとされています。
 上記①は、「事業主」を名宛人とし、②は、事業主だけでなく、上司や同僚も名宛人としています。

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# by motomame | 2016-11-24 09:00