医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。赤井・岡田法律事務所HP: http://www.akai-okadalaw.com


by 弁護士 赤井勝治
 近時、インターネットの情報などの中には、医師と患者さんとの間の診療契約上の信頼関係が破壊されている場合には、診療を拒否しても、応招義務違反にはならないかのような記載が散見されます。

 このような記載は、以下の下級審の裁判例等を根拠にしているものと思われます。

 その二つ目は、東京地方裁判所平成26年5月12日判決です。

 この判決では、「診療に従事する医師は、正当な事由があれば診察治療の求めを拒むことができるとされているところ、原告と被告との間の信頼関係は適切な医療行為を期待できないほどに破壊されていることからすれば、原告には被告からの診察の求めを拒否する正当な事由があるというべきである。」旨判示しています。

 この事案は、少々複雑なのですが、簡略化すると、過去に手術を受けた患者さんが、その約3年半後に、病院に対して、当時の診療録やレントゲン等の画像や手術録画等の開示や手術の説明を求め、これに対する病院側の対応を巡って紛争となりました。そして、病院側から、患者さんに対し、損害賠償などの債務の不存在確認や業務妨害等の禁止を求めて訴訟が提起され、その中で、裁判所は、現時点で、病院側は患者さんに対して、診療義務、問診義務はないと判断しました。

 裁判所は、患者さんが、病院長の説明に不審を抱くとともに、その対応にも不満を持ち、謝罪を求めるなどしたという言動からすれば、病院が患者さんに対して医療行為を行う上で基礎となる信頼関係は、もはや適切な医療行為を期待できないほどに破壊されていると言わざるを得ないとし、現時点において、病院側には患者さんに対して、診療義務、問診義務はないと判断しました。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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# by motomame | 2017-03-09 09:00
 近時、インターネットの情報などの中には、医師と患者さんとの間の診療契約上の信頼関係が破壊されている場合には、診療を拒否しても、応招義務違反にはならないかのような記載が散見されます。

 このような記載は、以下の下級審の裁判例等を根拠にしているものと思われます。

 まず一つ目は、弘前簡易裁判所平成23年12月16日判決です。

 この判決では、「診療契約において、患者は身体や生命という重要な法益を医師に託し、医師とともに継続的に治療を行うのであるから、診療の実施にあたっては医師及び患者間に信頼関係が必要とされる。そして、上記信頼関係が失われたときは、患者の診療・治療に緊急性がなく、代替する医療機関等が存在する場合に限り、医師または医療機関がこれを拒絶しても、診療拒絶に正当事由があると解するのが相当である。」と判示しています。

 この事案は、患者さんが大学附属病院で不妊治療を受けていたところ、患者さんから病院に対し、かかる治療に関して訴訟が提起され、そのため病院側から患者さんに「転医及び診療延期のお願いについて」という書面が交付され、これが診療拒絶にあたるかが争われたというものです。
 
 裁判所は、上記書面の交付は、実質的に診療拒絶したものと解したうえで、患者さんからの訴訟提起により患者さんと大学附属病院との信頼関係は失われたと認定し、さらに、患者さんの診療・治療に緊急性がなく、大学附属病院の代替機関も存在したことから、診療拒絶には正当な理由が存在したと判断しました。

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# by motomame | 2017-03-02 09:00
 医師の応招義務については、過去にも取り上げたことがありました。

 医師法19条1項は、「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と定めており、これを医師の応招(応召)義務と呼んでいます。
 
 そして、患者さんから診察、診療を求められたにもかかわらず、正当な事由もなくこれを拒んだ場合、医師の先生方には次のようなペナルティが課される可能性があります。
 
 まずは、応招義務違反を反復した場合には、医師の品位を損する行為として医師免許の取消等の行政処分の事由となる場合があります(旧厚生省の行政解釈)。
 
 また、医師の先生方が診療拒否したことにより、患者さんに損害が発生した場合には、先生方に過失があるとの一応の推定が働き、拒否することについて正当な事由があったことを証明しない限り、その損害を賠償する責任を負うことになります。

 では、どのような場合に、「正当な事由」があったとされるのでしょうか。

 この点、前回に取り上げた際には、旧厚生省の行政解釈による基準によれば、医師の先生方には、かなり厳しい義務が課せられており、「正当な事由」が認められる場合は限定的であって、しかも、残念ながらこの点に関する裁判例などの前例がほとんどないため、どのような場合であれば「正当な事由」が認められるのかを一般的に論ずることは容易ではない旨を述べました。

 しかしながら、インターネットの情報などの中には、医師と患者さんとの間の診療契約上の信頼関係が破壊されている場合には、診療を拒否しても、応招義務違反にはならないかのような記載が散見されます。

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# by motomame | 2017-02-23 09:00

相続について(10)

 遺産分割の行い方は、まずは「話し合い(協議)」です。

 相続人全員で話し合うことになりますが、全員が合意しない、すなわち一人でも反対する者がいるなど全員の間で話し合いがまとまらなければ有効な遺産分割は成立しません。

 そして、当事者間の話し合いでは話がまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。

 この「調停」という手続きは、裁判と異なり、あくまで話合いを行うための手続きです。
 当事者だけでは話合いができなかったり、話がまとまらないため、調停委員や調停官という第三者に間に入ってもらって話合いをするための手続きです。

 あくまで話合いの手続きであるため、この調停によっても全員の間で話がまとまらなければ解決には至りません。

 調停によっても解決に至らなかった場合には、家庭裁判所の審判という手続きでの解決を図ることになります。

 この「審判」という手続きは、裁判に近い手続きで、最終的には、裁判官が決定(裁判でいうところの「判決」と同じようなもの)により、分割の内容を決めることになります。

 この「決定」に不服がある場合には、異議を申し立てることができますが、基本的には、この「審判」での「決定」を出してもらうことが最終的な解決方法となります。

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# by motomame | 2017-02-16 09:00

相続について(9)

 遺言書がないか、あっても無効な場合には、法定相続人全員で遺産分割を行うことになります。

 なお、遺言書があって有効な場合でも、法定相続人全員で、その遺言内容と異なる内容の遺産分割を行うことは可能です。

 遺産分割とは、遺産を法定相続人間で具体的にどのように分けるのかを決めることであり、必ずしも法定相続分(割合)に従う必要はなく、自由に分け方を決めることができます。

 なお、借金については法定相続人間で、その負担の仕方を決めたとしても、それは相続人間では有効ですが、債権者(貸主)との関係では通用しません。
 債権者との関係では、法定相続人全員(相続放棄をした者は除く)が、法定相続分(割合)に応じて借金を引き継ぐことになります。

 遺産分割については、特にいつまでしなければならないといった期間の制限はありません。

 ただし、相続税の申告との関係では、申告期限(相続開始から10か月)内に分割を終えていないと適用を受けられない控除制度があります。

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# by motomame | 2017-02-09 09:00