医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。赤井・岡田法律事務所HP: http://www.akai-okadalaw.com


by 弁護士 赤井勝治
 事業譲渡とは、医療法人そのものではなく、法人が営んでいる事業のみを第三者に譲り渡す(売却する)ことです。

 医療法人に負債が多いなどの理由で経営がたちゆかなくなった場合でも、法人が行っていた事業自体には価値が認められる場合があります。

 たとえば、医療法人が単一ではなく、いくつかの事業(たとえば複数の病院)を営んでおり、その中に一つだけ採算の取れている事業がある場合、この事業だけを売却できる可能性があります。

 このように事業自体に価値がある場合には、これを相当な対価で第三者に売却し、その代金を法人の任意整理のための費用に充てるなどして、法人をたたむことが考えられます。

 ただし、事業譲渡の場合には、個々の財産や契約上の地位を移転させるため、契約の相手方の同意をとる必要があります。

 このような同意をとる必要のない方法として分割という制度があります。

 平成27年度改正以前の医療法では、医療法人の組織改編としては合併のみが規定されていましたが、改正後は分割も規定されました。

 医療法人の分割には、吸収分割と新設分割の2種類があります。

 吸収分割とは、医療法人が事業の一部を分割後に他の医療法人に承継させるケースを言います。

 新設分割とは、新しく医療法人を作って、ここに分割する事業を承継させるケースを言います。

 ただし、持分の定めのある医療法人は、分割制度の対象とはできないとされていることから、廃業のケースは、ほとんど利用することはないものと考えられます。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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# by motomame | 2017-05-25 09:00
 医療法人の売却とは、文字通り、法人自体を第三者に売却してしまうことです。

 具体的には、持分の定めのある医療法人では出資持分をすべて第三者に譲渡(売却)するとともに、退社の手続により法人の社員の地位(それに伴い理事長の地位も)を失うことになります。

 全出資持分を譲渡(売却)することによって、法人の財産は全て第三者に移行し、また退社により理事長は法人関係から離脱します。

 この場合、第三者が購入するだけの価値が医療法人にあり、また、当然のことですが売却先の見つかる必要があります。

 医療法人の合併には、吸収合併と新設合併の2種類があります。

 吸収合併とは、合併する二つ以上の医療法人のうち、一つが存続して、他がその存続する法人に吸収されて消滅するケースを言います。

 新設合併とは、新しく医療法人を作って、ここに合併する二つ以上の法人がすべて吸収されて消滅するケースを言います。

 通常、合併といえば吸収合併の利用されることが多く、廃業のケースでは吸収合併を利用することになると考えられます。

 経営していた医療法人は、他の法人に吸収合併されることにより消滅し、理事長は法人経営を終えます。

 なお、医療法人の合併については、社団たる医療法人は、総社員の同意があるときは、他の社団たる医療法人と合併することができるとされており、持分の定めのある医療法人同士の合併の場合にのみ、合併後も持分の定めのある医療法人にできます。

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# by motomame | 2017-05-18 09:00
 任意整理(私的整理)とは、事業をやめるとともに、その際に残る金融機関からの借入の返済などの事後処理を、裁判所による法的手続を使うことなく、金融機関などの相手方と直接話し合う方法によって行うことです。

 この場合には、金融機関などの相手方との交渉のために、弁護士を依頼することをお勧めします。

 この任意整理によって、医療法人をたたむためには、借入の返済などに充てるために処分することのできる財産(不動産等)を法人自身か、あるいは理事長個人などが所有している必要があります。つまり、事後処理をするために必要な費用の捻出ができなければ、この方法は使えないということです。

 個人事業者より少しだけ規模が大きい程度の医療法人であれば、この方法で法人をたたむことのできる場合があるでしょう。

 自己破産は、裁判所に自己破産の申立を行い、裁判所の破産手続によって、医療法人をたたむ方法です。

 この場合も、通常は裁判所への申立手続を弁護士に依頼していただくことになります。

 医療法人の抱える負債が大きく、法人や理事長者個人などの財産を処分しても、到底返済ができない場合に、事業をやめて法人をたたむためには、この自己破産によらざるを得ません。

 法人の規模がある程度大くなると、通常は抱える負債も大きく、任意整理による処理は困難なため、自己破産によることになります。

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# by motomame | 2017-05-11 09:00
 医療法人のたたみ方には、いくつかの方法があります。

 大きく分けて、法的手続、すなわち裁判所における手続を利用する方法と、そのような法的手続を利用しないで行う方法とがあります。

 法的手続を利用しない方法としては、事実上の廃業という方法と任意整理(私的整理)という方法があります。

 他方、法的手続を利用する方法としては、自己破産という方法があります。

 いずれも、最終的に、医療法人がそれまで行ってきた事業を終了させ、医療法人は消滅します。

 また、上記の任意整理(私的整理)の際に、法人の売却や法人の合併、法人の事業譲渡といった手段を組み合わせて利用する場合があります。

 事実上の廃業という方法は、それまで行ってきた事業を、事実上やめてしまうだけという方法です。

 特に弁護士に依頼するまでもなく、理事長自らが、決断すれば足ります。

 ただし、それまでの借入の返済などについて問題のないことが必要です。

 個人事業者と変わらないような規模の小さな医療法人が、この方法で法人をたたむことの可能な場合が最も多いでしょう。

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# by motomame | 2017-04-27 09:30
 近時、後継者がいないなどの理由から、自らが経営する医療法人を廃業したい、たたみたいというご相談を受けることがあります。

 このブログでは、これまでに「医療機関の事業承継について」と題して、医療機関の親族内承継についてや「医療機関の事業承継-M&A-」と題して医療機関のM&Aについて取り上げてきました。
 今回は、事業承継ではなく、廃業について取り上げてみたいと思います。

 私は、2010年に、「小さな会社の上手なたたみ方」(ぱる出版)という中小企業の廃業についての書籍を出版させていただいており、実務でも、こうした会社の私的整理や自己破産申立などを取り扱い、また、裁判所から選任いただいて、様々な規模の法人等の破産管財人をやらせていただいております。
 こうした経験も踏まえ、今回は、できる限り分かり易く、医療法人のたたみ方の概要について説明をさせていただくことにします。

 医療機関を営むにあたっては、個人事業者として営む場合と法人として営む場合とがあります。
 たとえば、医院を開業し、その際、法人を作らずに、「○○医院」といった名称を用いて営む場合が、個人事業者です。
 法律上は、個人(「○○医院こと××(個人名)」)として、扱われます。

 この個人事業者としての医師が医院をやめる場合には、それまで営んできた医院の業務に関連する借入や未収金、未払金の清算などの後始末が必要となります。それらの中には法人の場合と共通するものも少なからずありますので、今回の記事を参考にしていただければと思います。

 法人の場合、事業の主体は法人となり、経営者である医師はその法人の社員、多くは理事長として動かれることになります。
 したがって、運営資金を銀行などから借り入れる場合には、法人が借主となり、理事長個人は、その借入を保証人として保証する立場になります。
 また、診療費等を請求したり、医療器具の購入代金等を請求されたりする場合も、名義人は理事長個人ではなく、法人自身となります。
 さらに、法人の財産と理事長個人の財産とは法律上別個のものとして取り扱われることになります。
 そのため、法人が廃業する場合には、理事長個人とは別に、法人自体の借入や未収金、未払金を清算するなどの後始末が必要となります。

 それと同時に理事長個人についても、法人の借入に対する保証などを清算する後始末が必要となります。

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# by motomame | 2017-04-20 09:00