医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。赤井・岡田法律事務所HP: http://www.akai-okadalaw.com


by 弁護士 赤井勝治
 近時、後継者がいないなどの理由から、自らが経営する医療法人を廃業したい、たたみたいというご相談を受けることがあります。

 このブログでは、これまでに「医療機関の事業承継について」と題して、医療機関の親族内承継についてや「医療機関の事業承継-M&A-」と題して医療機関のM&Aについて取り上げてきました。
 今回は、事業承継ではなく、廃業について取り上げてみたいと思います。

 私は、2010年に、「小さな会社の上手なたたみ方」(ぱる出版)という中小企業の廃業についての書籍を出版させていただいており、実務でも、こうした会社の私的整理や自己破産申立などを取り扱い、また、裁判所から選任いただいて、様々な規模の法人等の破産管財人をやらせていただいております。
 こうした経験も踏まえ、今回は、できる限り分かり易く、医療法人のたたみ方の概要について説明をさせていただくことにします。

 医療機関を営むにあたっては、個人事業者として営む場合と法人として営む場合とがあります。
 たとえば、医院を開業し、その際、法人を作らずに、「○○医院」といった名称を用いて営む場合が、個人事業者です。
 法律上は、個人(「○○医院こと××(個人名)」)として、扱われます。

 この個人事業者としての医師が医院をやめる場合には、それまで営んできた医院の業務に関連する借入や未収金、未払金の清算などの後始末が必要となります。それらの中には法人の場合と共通するものも少なからずありますので、今回の記事を参考にしていただければと思います。

 法人の場合、事業の主体は法人となり、経営者である医師はその法人の社員、多くは理事長として動かれることになります。
 したがって、運営資金を銀行などから借り入れる場合には、法人が借主となり、理事長個人は、その借入を保証人として保証する立場になります。
 また、診療費等を請求したり、医療器具の購入代金等を請求されたりする場合も、名義人は理事長個人ではなく、法人自身となります。
 さらに、法人の財産と理事長個人の財産とは法律上別個のものとして取り扱われることになります。
 そのため、法人が廃業する場合には、理事長個人とは別に、法人自体の借入や未収金、未払金を清算するなどの後始末が必要となります。

 それと同時に理事長個人についても、法人の借入に対する保証などを清算する後始末が必要となります。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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# by motomame | 2017-04-20 09:00
 専門委員も、時間と労力をかけていただく点では鑑定人と変わりはありませんが、その負担は鑑定人よりは軽減されているものと思われます。

 鑑定人の場合にも、その負担を軽減する様々な工夫がなされていますが、それは専門委員の場合も同様です。

 いくら負担が鑑定人よりも軽減されているとはいっても、多忙な業務の合間に協力いただく負担は決して軽いものではありません。

 そこで、たとえば、争点整理に立ち会っていただく場合、基本的には、裁判所の法廷にお越しいただく必要があるのですが、争点整理を必ずしも法廷で行う必要のない進行協議期日に行うこととして、医師の勤務先に裁判官、弁護士等が赴いて実施するなどの工夫もなされています。

 医療訴訟は年々増加しており、しかも地方裁判所に係属している民事訴訟事件全体の平均と比べて、約4倍もの審理期間がかかっているとの批判がなされています。

 京都地方裁判所においては、平成16年に制度が始まって以来、現在までに、この専門委員の関与のあった医療訴訟事件は合計で40件と、まだまだ十分に活用されているわけではありません。

 この専門委員の制度が有効に活用されれば、医療訴訟事件の長い審理期間が少しでも短縮される方向に向かっていくのではないかと思われます。

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# by motomame | 2017-04-13 09:00
 専門委員については、鑑定人と比べて、担当していただく医師の負担が重くならないよう、各裁判所が配慮をしているようです。

 そもそも「意見」を求められるわけではないので、鑑定人が原則として、カルテを含む訴訟記録を検討しなければならないのに対し、専門委員は、必ずしもカルテ類等の検討までは求められません。

 また、鑑定人は、原則として「意見」を鑑定書という書面にして提出しなければなりませんが、専門委員は、必ずしも「説明」を書面で行う必要はありません。

 この点、法律では、専門委員の説明は、書面により又は口頭ですることになっていますが、現実の運用では、ほとんどの場合、口頭で行われています。

 さらに、専門委員は、鑑定人とは異なり、後日、証人として尋問されるということもありません。

 個人的には、この証人として尋問を受けないという点は、大きいと思います。
 
 医師から、鑑定書を提出後、数か月もしてから裁判所の法廷まで呼び出され、丸一日を潰したうえ、尋問で人格攻撃などの質問をされ、たいへん不快な思いをした経験があるというお話しや、そういった不快な思いをするのが嫌だから鑑定人は引き受けたくないという意見をこれまでに多く耳にしてきたからです。

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# by motomame | 2017-04-06 09:00
 専門委員というのは、平成16年4月から設けられた制度で、裁判の争点もしくは証拠の整理又は訴訟手続の進行に関し必要な事項の協議をするに当たり、訴訟関係を明瞭にし、又は訴訟手続の円滑な進行を図るために、専門的な知見に基づく説明をする者であるとされています(民事訴訟法92条の2)。

 この専門委員と鑑定人との大きな違いは、鑑定人が専門的な知見に基づく「意見」を求められているのに対し、専門委員は、「説明」を求められているという点です。

 専門委員は、非常勤として、裁判所から任命され、専門委員の名簿に記載されます。
 ちなみに、平成29年1月1日現在、京都地方裁判所から医事関係の専門委員に任命されている医師は、27名おられます。

 そして、具体的な事件については、裁判所から指定(指名)されて、関与していただくことになります。

 その関与していただく場面は、様々です。

 たとえば、訴訟手続における争点整理の段階で、訴訟当事者から出された主張や証拠の中に多用されている医学的な専門用語や専門的知識についての説明を行っていただくことがあります。

 また、証言の中に医学的な専門用語が多用される証人尋問に立ち会って、裁判官の求めに応じて、専門用語を簡単な言葉に言い換えたり、分かりやすく説明していただくこともあります。

 訴訟手続においては、裁判官が何を判断すればその事件が解決に至るのかといった争点を整理し、その整理された争点に関して、当事者が攻防を繰り広げるというのが理想です。

 しかし、医療訴訟のような専門的な訴訟においては、必ずしも争点の整理が的確になされているわけではありません。それは、裁判官や場合によっては訴訟当事者が、専門用語や専門的知識を必ずしも十分に理解できていないことに起因していることが少なくありません。
 
 また、訴訟当事者が攻防していても、その内容が専門的で、裁判官が必ずしも十分にできない場合もあります。

 そこで、医師である専門委員に関与していただき、専門用語や専門的知識の説明をしていただくことで、訴訟手続の円滑な進行を図る手助けをお願いするのです。

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# by motomame | 2017-03-30 09:00
 医療訴訟における鑑定人については、過去に取り上げたことがありました。

 「鑑定」は、専門性の高い分野について、特別の学識経験を有する第三者から意見を求めるものです。

 医師が裁判所から鑑定人になって欲しいとの依頼を受けた場合に、①時間と労力をとられ、精神的負担が大きすぎる、②法廷で人格攻撃などの質問をされ、不快な思いをするおそれがある、③何をどのように鑑定すればいいのかが分かりにくいなどといった問題点があり、近時は、これらを多少なりとも改善する努力がなされているということを述べさせてもらいました。

 ただ、現在でも、上記のような問題点が解消されているとは言い難いことは厳然たる事実です。

 現に、鑑定人の経験のある医師からは、カルテを含む膨大な訴訟記録を検討して、しかも鑑定書という書面を作成しなければならず、これにかかる時間と労力が甚大であること。そのうえ、後日、証人として法廷で尋問を受けることは、時間、労力、精神面において、かなり大きな負担であるとの指摘を受けたことがありました。

 また、鑑定事項が的外れであったり、何を求められているのかが分かり難いという指摘を受けたこともありました。

 今回は、この鑑定人とは異なる専門委員について取り上げてみたいと思います。

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# by motomame | 2017-03-23 16:00