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医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。赤井・岡田法律事務所HP: http://www.akai-okadalaw.com


by 弁護士 赤井勝治

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 巷に、医療機関のM&Aに関する書籍等がたくさん出回っていますが、少し技術的な側面のみに内容が偏っているように思います。

 現実にM&Aをする際には、技術的な側面は、それぞれの専門家に依頼すればよいのであって、それよりも重要なことは、これまで述べてきたように、それ以前の段階にあるように私には思われます。

 なお、技術的な側面で、最低限欠かせない専門家としては、税務面での税理士と法務面での弁護士です。

 譲渡対価に対する課税をはじめとして、事業譲渡に際しては、様々な税務的な問題が発生することは想像に難くないと思われます。
 営業権をどのように評価するのか、また、そもそも営業権の評価額を対価に入れるのが相当かどうかなどはその最たるものです。

 そして、事業譲渡の契約においては、債務の承継の有無、従業員の承継の有無、債務不履行があった場合の処置など多くの法律的な問題が発生します。
 これらの諸問題に対しては、しっかりとした対処をする必要があるのはもちろんのこと、締結する契約書の内容をどのようにするかは非常に重要となります。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2016-03-31 09:00
 次に、お金の問題があげられます。

 医療機関のM&Aを扱う専門家が入ることで、事業譲渡の対価については、ある程度は根拠のある数字がはじき出されます。

 ここでは詳しくは割愛しますが、病院の土地建物といった不動産については不動産評価により、医療機器といった設備機器などの動産類は時価や帳簿残存価格などにより、いわゆる営業権については保険診療報酬や収入などの総合的な判断により、といった具合に、数字がはじき出されます。
 ただ、こういった事業譲渡の対価は、常にケースバイケースであり、特に医療機関の営業権についてはそれほどしっかりとした評価基準なり評価方法がまだ確立されていないという印象を受けています。

 そもそもがそのようなものである上に、そこに当事者の主観的な価値観が付け加わります。
 さらに、元々譲渡する側はできるだけ高額で、譲渡を受ける側はできるだけ低額でと考えるのが当然ですので、そう簡単にお金の問題での折り合いがつくわけではありません。

 専門家の立場から言わせていただけるならば、双方が欲を出さない場合には、少なくともお金の面では折り合いがつきます。

 譲渡する側は、本来なら廃院して対価など入ってこない(のみならず、逆に費用がかかる)わけですから、相当程度の譲歩をする姿勢が必要です。

 また、譲渡を受ける側も、本来なら、一から開院すればかなり高額な投資が必要なところを、少ない投資ですむうえに、上手くいけば患者さんまで引き継げるのですから、それ相応の対価を支払おうとする姿勢が必要です。

 先の上手くいかなかった実例では、お金の問題も原因の一でした。
 譲渡を受ける側には、少しでも安くという態度がありありと出ているように思われました。
 また、譲渡する側も、一時的な譲渡代金に加えて、将来の一定期間にわたっての定期給付を求めるなど少し欲をかいているように思われました。

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by motomame | 2016-03-24 09:00
 ただ、実際には、必ずしもM&Aが上手くいくわけではありません。

 つい最近も、身近で、M&Aが上手くいかなかった実例がありました。

 最も問題となるのが、事業の譲渡を受けてこれを承継する者と合う合わないのマッチングとお金の問題です。
 こう言うと、単純に聞こえるかもしれませんが、他の事業と比べて、医療機関の事業は、医師個人の能力や性格などの特性に拠るところが多い上に、医師の家族などその周辺者や患者さん、スタッフなど利害関係者の事業への関わり方も一種独特のものがあるように思えます。

 まずは、当然に、事業を譲渡する側の医療機関(医師)と事業の譲渡を受けてこれを承継する者(医師)とのマッチングというのもかなりやっかいな問題となります。

 通常は、譲渡する側の医師の方が、譲渡を受ける側の医師よりも高齢で経験もあることがほとんどです。
 ここで、受ける側の医師に、譲渡する側の医師に対する十分なリスペクトがあれば良いのですが、得てして受ける側の医師には野心家の方も多く、譲渡する側の医師に対する十分なリスペクトを欠くことがあるようです。
 少なくとも、譲渡する側の医師にはそのように感じられるようです。

 ここで、双方間に一定の信頼関係を築くことができなければ、なかなか話しはまとまりません。
 必ずしもビジネスライクに話の進まないのが、医療機関のM&Aの難しいところです。

 先の上手くいかなかった実例でも、原因の一つがこの点にありました。
 当初は、両者とも和気あいあいと話し合いをされていたのですが、途中から、譲渡する側の医師が、受ける側の医師とは相性が合わないと言い始め、そのころから雲行きが怪しくなり始めました。

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by motomame | 2016-03-17 09:00
 M&Aによる事業承継には、以下の廃院した場合のデメリットのうちのいくつかを解消できるメリットがあります。

 廃院した場合には、それまでに年月をかけて作り上げた信用や数多くの患者さんをいっぺんに失ってしまうことになり、その損失は大きいものと思われます。
 のみならず、患者さんにとっても、いつも通っていた病院が急になくなると困るでしょうし、特に治療中の患者さんにとってはなおさらでしょう。
 また、その医療機関で働いていたスタッフ全員が一度に職を失うことになります。
 そのほかにも地域医療の観点から見ても相当でないなど数多くのデメリットが発生します。
 そのほか、廃院に際しては様々な費用がかかる点も見逃すことができません。
 私は、破産管財人として、そういった処理をすることが多いのですが、不要となった医療機器や医薬品の処分一つとってもかなりの費用がかかります。

 これに対して、M&Aが上手くいけば、上記のデメリットのいくつかを解消することができます。
 すなわち、年月をかけて作り上げた信用や数多くの患者さんをそのまま引き継ぐことで、その対価を得ることができます。
 また、患者さんにとっても継続して同じ病院に通い、治療を受け続けることができます。
 さらに、働いていたスタッフ全員の雇用がそのまま守られる場合もあります。
 地域医療の観点からも、貢献を続けることが可能となります。
 そのほか、廃院に際してかかる様々な費用も、その大部分がかからなくなります。

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by motomame | 2016-03-10 09:00
 医療機関の事業承継においても、他事業の事業承継の場合と同様、①親族内での承継、②親族以外への承継、③M&Aが考えられます。
 以前、最も多いと思われる①の親族内での承継について述べましたが、今回は、③のM&Aについて述べたいと思います。

 医療機関の廃院及び解散が、ここ数年急増しています。その主な原因は、開業医の高齢化と後継者不足にあると思われます。
 後継者のいない医療機関にとっては、これから述べるM&Aが、事業承継の打開策となり得ます。
 
 M&Aとは、Mergers(合併)and Aquisitions(買収)の略で、一般的には、企業の合併や企業買収などの意味で使われることが多い言葉です。
 ここでのM&Aは、簡単に言えば、医療機関の経営権を含む事業そのものを、全くの第三者に譲渡することを意味します。

 そもそも親族内に後継者がいれば、その者に承継をすれば足ります。また、親族内には後継者がいなくても、身近なところで、例えば勤務医などが後継者となってくれる場合には、そのまま承継をすることが可能です。

 しかし、後継者が全くいない場合には、事業承継ができない以上、廃院するほかありません。実際にも、廃院を選択される医療機関が多数存在します。

 そこで、廃院を避けて、事業承継を図る方法として、M&Aが近時注目されています。

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by motomame | 2016-03-03 09:00