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by 弁護士 赤井勝治

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 このテーマは、今回が最終回となります。

 医療事故調査・支援センターに対して提出した報告書類等の取扱について

 未だ、医療事故調査・支援センターに対して提出された報告書類等が、民事、刑事を問わず裁判等の法的手続で使用されたという話は耳にしていません。

 しかし、医療事故調査制度においては、報告書類等の民事や刑事の法的手続での使用を禁止した規定は置かれていませんので、いずれはそのような事例があらわれるものと考えられます。

 まだ、事例がないことから、裁判所もこの点について詳しい検討はなされていないようです。



  まだ制度が始まって日が浅く、大きな医療機関では、既にこの制度に対する対策が講じられているようですが、個人医院などの小規模な医療機関では、まだ様子を見ているというのが正直なところではないかと考えられます。

 そもそも、個人医院などの小規模な医療機関にも、制度が予定しているような院内調査を実施できるのかなどその運用面における問題があると思われます。

 また、この制度の目的は、医療の安全を確保するため、医療事故の再発防止につとめる点にあるとされていますが、この目的から乖離するような運用がなされないかを注意深く見守っていく必要があります。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2016-02-25 09:00
 前回の「運用について」の続きです。

 医療法第6条の10の「予期しなかったもの」に関して、「予期していた」と判断できるものには、①あらかじめ患者さん等に説明がなされていたと考えられるもの、②診療録などの記載からして医療者が予期していたと考えられるもの、③さらに事情を聞いたうえで予期していたと判断されるものが挙げられます。

 ①②については、「死亡する可能性がある」とか「合併症の可能性がある」といった一般的な説明や診療録などへの記載があるだけでは足りず、当該患者さんの臨床経過等をふまえて、当該死亡又は死産が起こりうるにとについての個別的な説明や診療録などへの記載でなければならないとされます。

 死因の究明について

 死因の究明については、解剖することが必須とはされていません。

 Ai(CT画像などで体内の出血や骨折の状況などを調べる方法。autopsy=検視,imaging=画像診断の略)の実施が推奨されています。

 今日、死因の究明のためには、できるだけ解剖することを推し進めていこうとする動き(死因究明等推進計画)もありますが、法医解剖を行う法医が慢性的に不足している現状で、どれだけ多くの解剖を実施できるかは疑問であり、法医の養成が急務と思われます。

 医師法第21条について

 医療事故調査制度施行の施行によっても、医師法第21条の届出義務についての取扱に変更はありません。
 したがって、医師は、死体又は妊娠4か月以上の死産児を検案して異常があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければなりません。

 この点、第三者による調査制度が検討される過程では、この医師法第21条の削除も議論されたようですが、結局はそのまま残ることになりました。
 
 したがって、ケースによっては、医師は、警察への報告と医療事故調査・支援センターへの報告の両方を行わなければなりません。
 前者は、24時間以内という時間制限があるうえ、これに違反した場合には罰則(50万円以下の罰金)もあります。これに対して、後者は、前記のように「遅滞なく」報告しなければならないとされていますが、特に時間的な制限が設けられているわけではなく、また、これに違反しても罰則は規定されていません。

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by motomame | 2016-02-18 09:00
 前回の続きです。

 運用について

 医療法第6条の10は、次のように規定しています。
 第1項
 病院、診療所又は助産所(以下この章において「病院等」という。)の管理者は、医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、当該医療事故の日時、場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を第六条の十五第一項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。
 第2項
 病院等の管理者は、前項の規定による報告をするに当たっては、あらかじめ、医療事故に係る死亡した者の遺族又は医療事故に係る死産した胎児の父母その他厚生労働省令で定める者(以下この章において単に「遺族」という。)に対し、厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。ただし、遺族がないとき、又は遺族の所在が不明であるときは、この限りでない。

 上記規定の「提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる」にいう「提供した医療」には、診察、検査、治療に関するものが含まれ、施設の火災や天災、併発症、原病の進行、自殺、事件は含まれません。

 検討が必要なのは、療養に関連するもの、転倒・転落に関連するもの、誤嚥に関連するもの、患者さんの隔離・身体的拘束や身体抑制に関連するものについてであり、これらについては、制度の運用上、管理者の判断によるとされています。

 そして、判断にあたって、管理者は、関係者と協議し、組織として診断するものとされており、支援センターの支援を受けることもできます。

 なお、この場合、規定上は「遅滞なく」報告しなければならないとされていますが、特に時間的な制限が設けられているわけではないので、実際には、管理者は十分に検討することを妨げられるわけではありません。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2016-02-11 09:00
 過去にこのブログでは、医療事故調査制度について、法律改正時にその概要を、改正法施行当初にその概説をそれぞれ取り上げさせていただきました。

 その後、平成27年10月1日に施行され、既に4か月が経過しまたので、これまでの動きや運用などについて述べたいと思います。

 支援センターについて
 
 まず、制度で定める「医療事故調査・支援センター」については、一般社団法人日本医療安全機構がその役割を担うことになりました。
 この点については、既に平成27年8月17日付けの厚生労働省告示第348号にて公示されております。

 報告数について

 そして、施行された平成27年10月1日から同年12月末日までの3か月間で、報告事件が累計で81件ありました。
 月別の内訳は、10月が19件、11月が26件、12月が36件となっており、この件数は厚生労働省が想定していた数の下限値ではないかと言われています。

 また、相談件数は、累計で597件ありました。

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by motomame | 2016-02-04 09:00