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by 弁護士 赤井勝治

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 前回は、東京三弁護士会が専門委員制度を活用しようとしない理由について述べました。

 もっとも、東京三弁護士会、愛知県弁護士会のいずれの医療ADRも実績をあげており、いずれの考え方が正しいのかという検証を行なうことはあまり有益なこととはいえないでしょう。

 全仲連でのパネルディスカッションにおいても、両弁護士会の医療ADRを参考としつつ、医療側・患者側経験豊富な弁護士(あっせん人候補者)の確保の難易、医師らの協力を得ることの難易、財政状況など各弁護士会のおかれた状況に応じて制度設計をしていけばよい、利用者の目線からすれば、各弁護士会で特色のあるADRが実施されている方が、むしろ紛争解決手段の多様化を図るというADRの制度目的に合致するのではないかというまとめられ方がされています。

 ちなみに、京都弁護士会の医療ADRは、現時点において、第三者医師による医学的知見の導入をすることなく、原則として、2名のあっせん人(いずれも弁護士)で手続きを実施しています。

 申立件数は東京三弁護士会や愛知県弁護士会には到底及びませんが、毎年一定数の申立てがあり、和解成立により終結している事件も少なくありません。

 仮に、今この記事を読まれている医療者が、医療ADRの相手方とされてしまったとしたら、第三者医師が専門委員として関与する愛知県弁護士会の医療ADRのような手続きでなければ応諾(申立てに応じて手続きに出席すること)されないでしょうか、それとも、弁護士で構成されるあっせん人のみで手続きが進められる東京三弁護士会や京都弁護士会の医療ADRの手続きでも応諾されるでしょうか。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-07-30 09:00
 第三者医師による医学的知見の導入については、「医療」ADRという名称からしても、専門性に関わる要素として必要である、あるいは望ましいと考えることは説得力のある意見であろうと考えられます。

 また、当事者である医師にしてみれば、専門家ではない弁護士が医学的知見も導入せずに手続きを主宰することについて不安を覚えるかもしれません。

 そうであるにもかかわらず、東京三弁護士会が専門委員制度を活用しようとしないのはなぜなのでしょうか。

 医療機関(第三者医師)から協力を得ることの困難性をどのように克服するのか、第三者医師への対価の支払いを誰がどのように負担するのかなどの現実的な問題もさることながら、以下のような理由が挙げられています(「東京三弁護士会医療ADR検証報告書」参照)。

 ① 実際に行なわれた医療行為に対する具体的な医学的・医療的評価は多様な評価が可能である場合が少なからずあるので、誰が手続きに関与する専門委員となるかにより評価が異なってしまう可能性があること(臨床医か研究医か、執務している病院の規模、専門医であるか否かなどによる違い。実際に、訴訟となった場合には、当事者である医師の意見、医師会の意見、医療機関内の調査、外部委員を入れた調査、損害保険会社の医師の意見、患者側の協力医の意見などが錯綜することが少なくありません。)。

 ② 訴訟における鑑定を含めた証拠調手続きのような、導入された医学的知見が当該症例にマッチしていることを検証する方法がADRにはないこと。

 ③ 紛争解決の正当性を当事者の合意のみに求めるADRにおいて、導入された医学的知見を前提とする和解案に対する当事者の説得性と納得性をどのように確保するのか(裁判の場合は、最終的には判決が言い渡されるという強制力が働くのとは異なります。)。

④ 仮に、裁判と同程度の正当性を確保する手段をADRに設けたとした場合、簡易・迅・廉価な解決方法というADRの長所とどのように調和を図るのか。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-07-23 09:00
 前回は東京三弁護士会の場合について述べました。

 これに対し、愛知県弁護士会の場合、あっせん人は基本的に1名(弁護士)で、医療事件を取り扱っていない弁護士があっせん人に就任することもあるそうです。

 そして、事案に応じて、双方当事者の同意が得られる場合には、医学的知見を提供することであっせん人の補佐をするための医師や歯科医師の専門委員が選任されるようです。

 専門委員候補者として、24の診療科目について50名の医師等の推薦を大学病院や市立病院、市中の大病院から受けており、今後も対応できる診療科目や候補者数を増やしていくそうです。

 医療側の立場での訴訟・紛争解決経験豊富なある弁護士のコメントによれば、こうした多くの専門委員候補者を擁する愛知県弁護士会の医療ADRは「新たなフェーズに入った」、他の弁護士会ではなかなか真似ることが難しいような状況にあるとのことです。

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by motomame | 2015-07-16 09:00
 本年4月22日、日本弁護士連合会の主催で、第19回全国仲裁センター連絡協議会(全仲連)が「弁護士会医療ADRの役割~対話と信頼に向けて~」というテーマで開催されました。

 その進行次第は、①医療ADRの経験のある医療機関アンケートの分析結果発表、②医療ADR取扱件数の多い東京三会と愛知県の弁護士会からの報告、③パネルディスカッションという内容でした。

 今回は、その中で議論された、第三者的立場にある医師等の医学的知見を有する者があっせん人や専門委員として手続きに関与することの是非について、実際にADRを行なっている各単位弁護士会がどのように考えているのかをご紹介したいと思います。

 医療ADRについては、東京三弁護士会と愛知県弁護士会が多くの実績をあげているのですが、「第三者医師の関与」については、両会の考え方は必ずしも一致していません。

 東京三弁護士会の場合、あっせん人は、原則として、患者側の立場での訴訟・紛争解決経験豊富なあっせん人(弁護士)、医療側の立場での訴訟・紛争解決経験豊富なあっせん人(弁護士)、それら以外の訴訟・紛争解決経験豊富なあっせん人(弁護士)の3名体制で手続きが実施されており、医師等があっせん人や専門委員として手続きに関与することはないようです。

 ただし、医師等が手続的に関与できないような制度設計がされているわけではないそうです。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-07-09 09:00
 まず、前提として、ADRについて説明します。
 
 ADRとは、裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)の略語であり、裁判手続きによらずに、中立な立場のあっせん人の仲介により当事者同士が話合いで解決を目指す制度をいい、医療ADRとは、医療紛争の話合いによる解決を目的とするものです。

 ADRについては、裁判手続きとの比較でいうと、
 ① 手続的に簡便であり、解決までの時間が短い
 ② ADRは手続きが非公開であるため、争いの内容や存在自体を知られたくない場合には適している
 ③ 当事者の合意のみに基づき紛争を解決しなければならないことから、当事者の意向を反映しやすい手続きである
 ④ 裁判手続では当事者に大きな費用負担がかかることが少なくないのに比べると、ADRでは一般的に経済的である
 といわれています。

 日本弁護士連合会ADRセンターは、医療ADRに対する需要の現在および将来の動向を考え、平成20年から弁護士会ADRを設置するための準備活動・支援を行っています。

 そのため、全国の弁護士会のADR担当者が集う全国仲裁センター連絡協議会でも、医療ADRがテーマとされることが多くなってきました。

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by motomame | 2015-07-02 09:00