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by 弁護士 赤井勝治

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 前回の具体例の続きです。

 医療法人の出資持分の半分を有する理事長が亡くなった場合で、理事長には、出資持分以外に3億円の金融資産(預貯金等)と2億円の不動産資産(自宅の土地建物等)があり、相続人は配偶者と子2人とします。
 そして、医療法人の剰余金が10億円以上にのぼり、債務等を控除してもなお純資産額が10億円になったとします。

 この例でいくと、医療法人の出資持分の5億円について、その2億5000万円分を配偶者が、残りの半分1億2500万円分ずつを2人の子がそれぞれ相続することになります。

 そして、2人の子のうち1人は当該医療法人に勤務する医師であるのに対し、もう1人は別の職業についていて医療法人の経営には全く興味がないような場合、この子のうちの1人から医療法人に対して、相続した出資持分の払戻を請求される可能性が考えられます。

 この場合、医療法人は、一括で1億2500万円を支払う必要に迫られます。
 上の例では、医療法人に10億もの剰余金が内部留保されているので支払いに困るような事態にはならないでしょうが、このように高額な払戻請求がなされると医療法人によっては、その経営に多大な影響のある場合も考えられるところです。

 以上、出資持分のある医療法人が、出資持分があるが故に抱えている課題について述べてきました。

 今回は、どのような問題が生じうるのかという点に言及するにとどめますが、大切なのは、まず、問題が生じうるのだという認識を持っていただくことです。
 預貯金等の金融資産が豊富にあるからといって楽観視していては手痛い目に遭うおそれがあります。

 出資持分のある医療法人の全てにつき、問題が生じるわけではありませんが、その可能性を十分認識したうえで、事前に講じることのできる対策がある場合には、検討していただければと思います。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-05-28 09:00
 前回は、出資持分のある医療法人が、出資持分があるが故に抱えている課題として、相続税の課税時に生じうる問題と払戻請求があったときに生じうる問題の2つが考えられるということを述べました。

 すなわち、医療法人に内部留保された剰余金の総額が多額である場合には、これに応じて出資持分が高額な評価を受け、相続税額が巨額になるおそれがあり、また、出資持分の払戻請求があった場合にも、出資持分が高額な評価を受け、医療法人の支払う払戻金が巨額になるおそれがあるということです。

 そして、この2つの問題の発生が考えられる典型的な場面としては、相続の場面が挙げられます。

 具体例として、医療法人の出資持分の半分を有する理事長が亡くなった場合を考えてみましょう。

 理事長には、出資持分以外に3億円の金融資産(預貯金等)と2億円の不動産資産(自宅の土地建物等)があり、相続人は配偶者と子2人とします。
 そして、医療法人の剰余金が10億円以上にのぼり、債務等を控除してもなお純資産額が10億円になったとしましょう。

 この場合、理事長の遺産の総額は、預貯金等の3億円と自宅土地建物等の2億円に理事長が有していた医療法人の出資持分に相当する5億円を合わせて10億円となります。
 そして、理事長が遺言を残していなかった場合には、配偶者が2分の1、2人の子がそれぞれ4分の1の法定相続分を有することになります。

 まず、相続税については、基礎控除額が、3000万円+600万円×3=4800万円ですので、これを控除した9億5200万円に課税されることになります(実際には小規模宅地等の特例などの適用が考えられますが、ここでは単純化するためにこれら特例の適用は考えないものとします)。

 全ての遺産を相続人3人が法定相続分に応じて相続したと仮定した場合、配偶者の相続税は、法定相続分の2分の1の配偶者控除が使えます。その結果、本来なら、9億5200万円の2分の1にあたる4億7600万円が課税対象となり、この場合の相続税率は50%で、控除額が4200万円なので、相続税額は、1億9600万円となりますが、これがかかりません。
 
 これに対し、子らは、それぞれ2億3800万円が課税対象となり、この場合の相続税率は45%で、控除額が2700万円なので、相続税額は、それぞれ8010万円となります。

 このようにして、配偶者は相続税がかからないものの、子ら2人の相続税の総額は、1億6020万円とかなり高額となって、その納税はたいへんです。

 このような事態を招いた最大の原因が、医療法人の出資持分が5億円という高額な評価となった点にあるのは明らかです。

 医療法人の出資持分を甘く見ていると、上記のような高額な納税を招くおそれがあります。

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by motomame | 2015-05-21 09:00
 今回は、出資持分のある医療法人が、出資持分があるが故に抱えている課題についてです。

 課題としては、相続税の課税時に生じうる問題と払戻請求があったときに生じうる問題の2つが考えられます。

 医療法人は、その非営利性から、株式会社などとは異なり、剰余金の配当が認められていません。
 通常、株式会社などでは、売上から経費を控除して利益が出た場合には、これを出資者たる株主に配当という形で利益還元することができます。

 しかし、医療法人においては、このような利益配当は認められていません。

 したがって、剰余金(利益)は、医療法人内に継続して内部留保されていくことになります。
 そして、これが長期間にわたって積み重なると多額となり、問題を生じさせます。

 その一つが、医療法人に出資していた者が死亡した際、その相続人に対して課せられる相続税です。
 医療法人に内部留保された剰余金の総額が多額である場合には、これに応じて出資持分が高額な評価を受け、相続税額が巨額になるおそれがあります。

 もう一つは、出資持分の払戻請求があった場合です。この場合にも、出資持分が高額な評価を受け、医療法人の支払う払戻金が巨額になるおそれがあります。

 そして、この2つの問題の発生が考えられる典型的な場面としては、相続の場面が挙げられます。

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by motomame | 2015-05-14 09:00
 医療機関の中には、法人化されているものと、法人化せずに個人のままで経営されているものとがあります。

 2007年(平成19年)に施行された医療法の改正により、出資持分のある医療法人の新設ができなくなりましたが、その直前に駆け込みで出資持分のある医療法人が数多く設立されたのは記憶に新しいところです。

 医療法人の非営利性を徹底させる観点から改正が行われたわけですが、その結果、解散の際に出資者が残余財産の分配を受けられなくなるなどするため、これを回避する動きがあったということになります。

 この出資持分のある医療法人(改正医療法附則10条による経過措置を受ける医療法人)が現在も数多く存在しています(厚生労働省の「種類別医療法人数推移」では、平成22年3月末時点で、医療法人総数4万5,989法人のうち、持分のある医療法人数が4万2,902法人とされています)。

 今回は、この出資持分のある医療法人が、出資持分があるが故に抱えている課題について述べてみたいと思います。

  赤井・岡田法律事務所
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by motomame | 2015-05-07 09:00