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by 弁護士 赤井勝治

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 前回は、個人情報を許されない形で開示してしまった場合の刑事上の責任について述べましたが、そのほか民事上も損害賠償請求の対象となります。
 すなわち、医師には診療契約上の付随義務として患者の秘密を守る義務がありますので、正当な理由なくして個人情報を開示した場合には、この付随義務違反として、または不法行為として損害賠償請求の対象となります。

 損害賠償請求の内容としては、実際に個人情報が漏洩したことによって生じた経済的な損害、例えば、医療機関の自由診療の報酬をクレジットカードにて支払ってもらった場合に、そのクレジットカード番号がパソコン等から漏洩した場合、パスワードなどで保護せず、漫然と保管していた場合には、そのクレジットカード番号が悪用されて、患者さんに請求がきた場合の実損額を支払う必要があります(カード会社の保険が適用される場合は損害賠償請求を免れることもあり得ます)。

 また、経済的な損害以外にも、患者さんの病気の内容が第三者に知られたことなどによる精神的苦痛に対する慰謝料を支払う必要も発生します。
 この場合、実際に裁判の判決で言い渡される慰謝料の金額は様々です。
 もっとも、おおよその目安として慰謝料の金額が100万円を超えることは多くはなく、中には数万円程度の場合もあります。
 ただし、医療関係者による漏洩の場合には、刑事事件として立件されることを避ける必要があります。この場合には、患者さんから刑事告訴をされないよう、あるいは仮にされたとしても取り下げてもらうために、患者さん側の主張する請求金額をある程度そのまま受け入れざるをえない場合があるので、注意が必要です。

 このように正当な理由なくして患者さんの個人情報を開示した場合、刑事事件となったり、損害賠償請求を受けたりすることがあるので、普段から個人情報については十分な管理と注意が必要です。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2014-09-25 09:00
 医療機関では、患者さんの診療録や検査記録など様々な個人情報を扱うことになりますが、これらについては適切に取り扱いをする必要があります。
 そこで、前回までは、医療機関における個人情報とは何か、個人情報の具体的な取り扱い、患者さんへの家族への開示、患者さん以外の第三者への開示について取り上げました。

 今回は、許されない開示をしてしまった場合の法的問題について検討してみたいと思います。

 既に述べましたが、個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名・生年月日その他の記述などにより特定の個人が識別することができるもの(個人情報保護法2条1項)を指します。
 具体的には、氏名、性別、生年月日に限らず、個人の身体、財産、職種、肩書き等の属性に関して、事実、判断、評価を表すすべての情報をいいます。

 それでは、この個人情報を許されない形で開示してしまった場合には、どのような法的問題が生じるでしょうか。

 まず、漏らしたのが医師自身であれば、秘密漏泄罪に問われることになります。
 正当な理由なくして職務上知り得た秘密を漏らした場合、刑法134条2項に該当し、6ヶ月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。
 例えば、医師が受け持ち患者さんの病名などを第三者に話した場合などがこれに該当します。
 もっとも、医師が治療の過程で知った秘密ではない、例えば、近隣の酒場で偶然見聞きしたことを第三者に話した場合は、この罪の対象とはなりません。

 また、正当な事由があって漏示した場合、例えば、感染症予防法では、医師が患者さんを保健所長に届け出る義務が定められていますが、これに基づく告知は正当な業務にあたり、秘密漏泄罪には問われません。

 なお、本罪は親告罪といって、被害者等の刑事告訴がなければ刑事訴追することが出来ない罪となっています。
 その他、医療関係者には各業法ごとに同様の処罰規定が規定されています(保健師助産師看護師法等)ので、注意が必要です。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2014-09-18 09:00
 それでは、今回は、具体的な個人情報の取り扱いについて考えてみます。

 まず、患者さんのご家族に対する開示についてですが、この場合でも、原則として患者さん本人に開示の対象を確認したうえで、患者さん本人の同意が必要となります。
 例えば、未成年の患者さんが産婦人科を受診して、妊娠が判ったとき、親には秘密にしておいて欲しいと言われた場合には、その未成年の患者さんの承諾なしに親に開示することも原則として許されないことになります。
 しかし、未成年者の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合には、承諾なしでも開示することができます。具体的には、妊娠状態を続けることにより未成年者の身体が危険にさらされ、人工妊娠中絶をする必要があるが、未成年者にはその是非を理解することが困難な場合、親に開示をして未成年者に説明をしてもらうことが許されると考えられます。

 では、患者さん本人が意識不明で同意がとれない場合はどうでしょうか。
 この場合は、①患者さんの家族であることを確認した上で、治療に必要な範囲の情報提供・取得を行う、②患者さん本人の意識が回復した際、提供・取得した個人情報の内容とその提供・取得の相手方について説明する、③患者さん本人からの申し出があれば、個人情報の訂正、家族などの対象者の変更を行う、という3つの要件を充足していただく必要があります。

 次に、患者さんのご家族以外に開示する場合を考えてみます。
 患者さんの診療情報を学会で発表する場合はどうでしょうか。
 この場合、十分な匿名化(氏名や顔写真を消去する)がなされていれば、同意は不要となります。
 ただし、大変珍しい疾患や受傷部位であることから、患者さんが特定される可能性がある場合には、患者さんの同意をもらっておく方が望ましいと考えられます。

 また、保険会社から開示を求められた場合は、患者さんから同意を取ることが必要となります。そして、保険会社から同意書を提示したり郵送してくることもありますが、そのような場合でも患者さんには必ず確認の連絡をしてもらいたいものです。
 もし、患者さんに確認をせずに勝手に開示を行い、後で患者さんから以前は同意していたのが現在は同意していないなどとクレームがついたら、いささか面倒なことになりますから、注意が必要です。

 さらに、患者さんの職場から、開示を求められた場合はどうでしょうか。この場合も本人の同意を取っていただく必要があります。
 もし、勝手に開示を行い、その医療情報が患者さんの昇進などの人事考課に影響してしまうと大きな問題になるおそれがあります。職場からの問い合わせは慎重に対応していただくようお願いいたします。

 以上のように患者さんの個人情報については、慎重な取り扱いが要請されます。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2014-09-11 09:00
 医療機関では、患者さんの診療録や検査記録など、様々な個人情報が取り扱われますが、これらについては適切な取り扱いをする必要があります。
 そこで、今回は、医療機関における個人情報の管理をどのようにしていくべきかについて検討してみたいと思います。

 そもそも「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名・生年月日その他の記述などにより特定の個人が識別することができるもの(個人情報保護法2条1項)を指します。
 具体的には、氏名、性別、生年月日に限らず、個人の身体、財産、職種、肩書き等の属性に関して、事実、判断、評価を表すすべての情報をいいます。

 医療機関においては、診療録、処方せん、手術記録、助産録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、診療情報提供書、退院サマリー、調剤録等を、個人情報が含まれているものとして管理していく必要があります。

 管理方法については、これから順次述べていきますが、厚生労働省が示している医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン(平成22年9月17日改正)を遵守する必要があり、個人情報の取り扱いについて困ったときには、このガイドラインに照らして対処することになります。

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by motomame | 2014-09-04 09:00