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医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。赤井・岡田法律事務所HP: http://www.akai-okadalaw.com


by 弁護士 赤井勝治

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 前回述べたように、万一、民事上の責任を負うことになってしまった場合の解決方法としては、大きく分けて、「裁判外での解決」と「裁判上での解決」とが考えられます。

 「裁判外での解決」としては、具体的には示談による解決が挙げられます。
 すなわち、患者さんの側と話し合いを行い、一定の金銭(損害賠償金)を支払うことで合意をして解決を図ることになります。


 「裁判上での解決」としては、通常の裁判の他、民事調停による解決という方法もあります。
 民事調停は、(簡易)裁判所で行われる第三者(調停官1名と調停委員2名)の仲介による話し合いの手続ですが、近時は、調停委員の1名に医師が専門委員として選任されることから、かなり医療事故の内容にまで踏み込んだ話し合いが行われています。
 ただし、あくまで話し合いの手続ですので、当事者(患者側と医師側)の双方が合意しなければ不成立となり、解決には至りません。
 民事調停が不成立となった場合には、通常の裁判に移行することになります。通常の裁判による場合であっても、必ずしも判決に至るわけではなく、多くの場合には、判決前に話し合いによる和解によって解決が図られています。


 次に、刑事責任についてですが、これについては、本当の概略だけにとどめておきます。
 医療行為に過失があり、その結果として、患者さんが死亡したり、健康を害した場合には、業務上過失致死傷罪(刑法211条1項前段)の成立する可能性があります。
 ただし、私人間の問題である民事上の責任の問題とは異なり、刑事責任が問われる場面では、検察官が医師に過失があり、その結果死傷の結果が発生したことを証拠に基づき厳格に証明しなければなりません。この証明は事実上困難な場合が多いため、実際に医師が刑事責任を問われるのは、患者の取り違えや患者の体内に手術器具を残したなどの初歩的なミスの事例がほとんどです。


 赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地 オクムラビル2階
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 執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)

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by motomame | 2013-12-26 09:00

  今回は、前回に予告させていただいたとおり、医療事故が起こってしまった場合の医師の先生方の責任について、概略を見ていくことにします。

 まず、前回の続きになりますが、医師の先生方は、日々の診療に際し、特に意識しておられなくても、患者さんとの間で、日々、診療契約を締結されています。
 「契約」というと、売主と買主が契約書に署名する不動産の売買契約などをイメージされる方が多いかもしれませんが、「契約」はこのようなものに限られません。誤解を怖れずに簡明化すれば、「契約」とは、要するに、約束の取り交わしであり、約束をした内容に法的に拘束されるものです。
 ここに「法的に拘束される」とは、約束の内容を守るよう相手方に求めることに正当な根拠があると認められ、究極的には、約束を守らない相手方に対して裁判所が約束を守るように、あるいは約束を守らないことに対するペナルティを与える旨の判決を下してくれるということです。
 そして、契約は契約書などを作らなくても、最低限、お互いの言動などからして双方に約束をする意思があったものと認められる場合であれば成立します。

 これを診療契約に即して言えば、次のようになります。
 患者さんが病院の受付窓口で診察の申込をすれば、その申込には、病気の診察・治療を依頼し、その対価として治療費を支払うという意思が含まれているものと認められます。そして、これを受けて医師の先生方が患者さんの診察を始めれば、患者さんの求めに応じて病気の診察・治療を行うことを了承し、その対価として医療費の支払いを求める意思があると認められ、この時点で約束の取り交わしがあったとして診療契約が成立します。
 約束(契約)の内容は、医師の先生方が患者さんの病気を適切に診察・治療し、その対価として患者さんから医療費の支払いを受けるというものです。
 
 このように診療契約が成立していることから、医療事故が起こった場合、患者さんから、医師の先生方が適切に診察・治療するという約束を守らなかったとして、責任を追及される可能性があります。すなわち、医師の先生方の行った診察・治療が適切でなく、その結果、患者さんに損害(例えば後遺症が残った、亡くなってしまった等)が発生したとして、その損害を賠償するよう請求される可能性があります。
 また、何人も、不注意(過失)により他人に損害を与えた場合には、その損害を賠償する責任を負うものとされています。医師の先生方の行った診察・治療が適切でなかった場合には、それは同時に不注意があったということに他ならず、この面からも、患者さんから、損害を賠償するよう請求されることになります。

 これが、民事上の責任と言われるものです。
 通常は、患者さんから損害賠償を請求され、争いがある場合には、裁判(民事裁判、いわゆる医療過誤裁判)へと発展していくことになります。


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by motomame | 2013-12-19 09:00

診療契約(2)

 前回の診療契約の続きです。
 診療契約の当事者の一方は、当然ながら患者さん本人です。患者さんが未成年者の場合には、法定代理人としての親御さんです。
 もう一方は、開業医ならば医師の先生方、病院ならその開設者です。

 では、診察を開始する前から患者さんに意識がないような場合は、誰を契約者とすれば良いのでしょうか。
 近親者などが患者さんを連れてきた場合には、その近親者が一般的に見て患者さんから日常生活における代理権を与えられているといえるような人物(親子、同居の親族等)であれば、その近親者を代理人として患者さん本人との間で診療契約が成立したと考えて差し支えないでしょう。
 他人など、一般的に見て患者さんから日常生活における代理権を与えられているとはいえないような人物が患者さんを連れてきた場合には、ケースバイケースなため、一概には論じることができませんが、ほとんどの場合は後日意識を取り戻した患者さん本人が契約当事者として医療費を支払うことに同意するでしょう。


 診察治療にあたっては、後日、医療費の請求をめぐってトラブルにならないよう、診療契約を意識し、特に契約当事者をはっきりとさせておくことが肝要です。トラブルになってしまった場合には、早めに弁護士に相談されることをお勧め致します。

 次回は、医療事故が起こってしまった場合の責任についての概略を述べる予定です。


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by motomame | 2013-12-12 09:00

診療契約(1)

 まず今回は、普段特に意識されることのない患者さんとの間の診療契約について取り上げてみたいと思います。
 近時、マスコミにおいて医療費の未払が社会問題として取り上げられていますが、その支払いを請求していく際に、診療契約の成否やその当事者は誰なのかが問題となる可能性があります。

 通常、医師は、患者が診察や治療を求めて病院を訪れてくれば診察治療をします。このとき、患者さんとの間で診療契約を締結したと意識されている医師の先生方は少ないのではないでしょうか。
 しかし、医師が診察を始めた時点で診療契約が成立しているのです。
 診療契約の法的な性質については、病気を診察治療することを内容とする「準委任契約」であるとされています。
 この「準委任契約」とは、当事者の一方が法律行為でない事務を委託し、相手方がこれを承諾することで成立する契約のことを言います。つまり、診療契約は、患者が病気の診察治療を依頼し、医師がこれを引き受けることで成立する契約なのです。

 契約が成立するには、契約の「申込み」と「承諾」が必要ですが、通常は、患者さんの受付窓口での診察の申込みが「申込み」に該たり、医師の先生方が患者さんの診察を始めれば、これが「承諾」に該たります。
 このようにして、診療契約が成立するわけですが、これにより医師は病気を診察治療する義務を負い、他方、患者は診察治療の対価としての医療費を支払う義務を負います。
 なお、契約内容に、医師が病気を治癒させることまでは含まれません。また、当然に患者には診察治療の対価として医療費を支払うことにつき合意があるものと認められます。
 現実には、健康保険を介するので、もう少し、法律関係が複雑になるのですが、ここで説明した基本的な点だけでも押さえておいていただければと思います。


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by motomame | 2013-12-05 09:00

はじめまして。

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 はじめまして。

 私どもは、京都市中京区にある法律事務所(赤井・岡田法律事務所)に所属する弁護士です。
 私どもは、「ドクターズローヤー」として、医師をはじめとする医療従事者や医療機関の方々から、様々なご相談やご依頼をお受けし、信頼にお応えできるよう努めております。
 当事務所所属弁護士のうち2名(赤井,若松)は、京都府保険医協会の協力専門家としての相談にも対応させていただいています。
 特に、近時は、患者さんからの苦情対応についてのご依頼が増加しております。

 当事務所では、かねてから医師をはじめとする医療従事者や医療機関の方々に対して、有用な情報を発信したいと考えており、2007年から京都市内の地区医師会の会報誌にコラムを連載させていただいております。

 この度、より広くの方々に情報をご提供したいと考え、このブログを開設いたしました。
 このブログでは、正確性よりも分かり易さを重視しておりますので、その点はどうかご了承下さい。

 少しでも、医師をはじめとする医療従事者や医療機関の方々のお役に立てば幸いです。


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by motomame | 2013-12-03 17:06