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by 弁護士 赤井勝治

院内感染について(3)

 つぎに、医療機関に院内感染防止義務違反があったとは認められなくても、担当医師の感染症防止措置が不十分であったり、担当医師の感染症発症後の治療が不十分であったとして、結果的に医療機関の法的責任が認められた裁判例について見ていきます。

 感染症防止措置については、最高裁判所平成13年6月8日判決があります。

 これは、外科手術後の細菌感染症に対する予防措置について医師の注意義務違反を否定した原審の認定判断に違法があるとされた事例です。
 その中で、最高裁判所は、「重い外傷の治療を行う医師としては、創の細菌感染から重篤な細菌感染症に至る可能性を考慮に入れつつ、慎重に患者の容態ないし創の状態の変化を観察し、細菌感染が疑われたならば、細菌感染に対する適切な措置を講じて、重篤な細菌感染症に至ることを予防すべき注意義務を負うものといわなければならない。」と判示しています。

 また、担当医師の感染症発症後の治療が不十分であったとされた裁判例はいくつもあります。

 その多くは、速やかに起炎菌を同定するための検査、作業を怠ったもの、起炎菌に最も有効な抗生物質の選択を誤ったもの、早期の適切な治療薬投与を怠ったものです。

 私も同種事案を取り扱った経験がありますが、その事案でも、上記の3つの点が問題となりました。
 当該事案は、感染症が疑われたにもかかわらず、速やかに起炎菌を同定するための検査が行われず、汎用的な抗生物質を投与して様子を見た後にはじめて起炎菌に最も有効な抗生物質が投与されという経過をたどり、起炎菌に最も有効な抗生物質が速やかに投与されなかったために、治療がいたずらに長期化したという事案でした。

 そのほか、主治医が細菌培養検査の検査結果を手術担当医師に伝えず、手術担当医師も検査結果を確認しないままに手術をしたため医療機関の法的責任が認められた裁判例もあります(大阪地方裁判所平成10年4月24日判決)。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2017-11-16 09:00