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by 弁護士 赤井勝治

院内感染について(2)

 患者さんと医療機関との間の診療契約において、医療機関は付随的義務として安全管理義務を負い、その中には院内感染の防止義務も含まれます。
 この防止義務違反、すなわち医療機関の院内感染防止対策が不十分であったことを過失として医療機関の法的責任を認めた裁判例はあまり見られません。

 医療機関の法的責任を認めたものとして、大阪地方裁判所平成12年1月24日判決のあげられていることがありますが、これは病院給食を通じてサルモネラ菌を感染させたことが診療契約上の債務不履行であるとされた事案であり、あまり参考にはなりません。

 そこで、ここでは、逆に、医療機関には院内感染防止義務違反がないとされた裁判例について、これらに共通する傾向を見ていくことにします。

 これらの医療機関には院内感染防止義務違反がないとされた裁判例では、当該医療機関において、院内感染防止対策が充実していたという共通点が見られます。
 これらの医療機関では、早くから院内感染防止対策がとられていたものと推察されます。

 そして、実施されていた具体的な院内感染防止対策としては、院内感染防止対策委員会の設置、感染対策ガイドラインの策定、環境細菌検査や医師・看護師への保菌検査の定期的実施、消毒・手洗いの徹底、廃棄物適正委員会を設置しての計画的廃棄物処理、ベッドセンター・リネンセンターの衛生基準の策定、専門の清掃業者による清掃の徹底等があげられています。

 このように院内感染防止対策が十分に講じられていれば、裁判所は、医療機関に院内感染防止義務違反があったとは容易には認めないものと考えられます。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2017-11-09 09:00