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by 弁護士 赤井勝治

人間ドック実施時の注意義務について(3)

 以上のような、受診者側の主張及び病院側の反論を踏まえ、裁判所は、次のように判断しました。

 人間ドックは、疾病、特に癌や糖尿病といった成人病の早期発見と、適切な治療を受けさせるためのアドバイスを主たる目的として行われるものであり、受診者も当時の医療水準における適切な診断とアドバイスを期ヘして人間ドック診療契約を締結するのであるから、人間ドックを実施する医療機関としては、当時の医療水準に照らし、疾病発見に最もふさわしい検査方法を選択するとともに、疾病の兆候の有無を的確に判断して被験者に告知し、仮に異常かあれば治療方法、生活における注意点等を的確に指導する義務を有するというべきである。

 また、人間ドックはいわゆる集団検診とは異なり、健康管理に高い関心を有する者が自発的に受診するものであり、受診者は少しでも異常を疑わせる兆候が存在する場合にはその告知を受け、精密検査を受診することを希望しているのが通常である(それが、癌の存在を疑わせる兆候であればなおさらである。)から、実施する医療機関は、異常を疑わせる兆候があればこれをすべて被験者に告知し、診断が確定できない場合には精密検査あるいは再検査を受けて診断を確定するよう促す高度の注意義務を有するというべきである。

 また、人間ドックにおける検査項目、検査方法及び判定基準については、健保連と日本病院会の間において短期人間ドック契約が締結され、37の検査項目の実施を定め、さらに日本病院会が10の検査項目を追加した47の検査項目で実施するよう実施指定病院に対し指導するとともに、短期人間ドック指導規準を定めて指導していた。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2017-07-20 09:00