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by 弁護士 赤井勝治

人間ドック実施時の注意義務について(1)

 人間ドックは、現在多くの医療機関が実施しており、病気の早期発見のため、あるいは健康診断の代替として利用されています。
 この人間ドックにおいて、検査の見落としがあったなどとして法的紛争になる場合があります。

 そこで、今回は、人間ドックを実施する医療機関や医師が受診者に対してどのような義務を負うのかについて述べてみたいと思います。

 この点について言及した裁判例としては、東京地方裁判所平成4年10月26日判決があります。

 この判決では、人間ドックを実施した病院が、便潜血検査において、ツープラス以上を異常とする判断基準をとり、ワンプラスの患者に対して再検査、精密検査等を促さなかったところ、その患者が癌で死亡した事例につき、実施した病院に過失を認めました。

 それでは、以下、この判決を受診者側の主張、病院側の反論、裁判所の判断の順に見ていきます。
 
 まず、この裁判で、受診者側は次のような主張をしました。

 人間ドック診療契約においては、病院は、受診者の身体に各種疾患が存在しないかどうかを的確に検査し、その結果異常が認められた場合には、それが治療を要するものか否か、精密検査をする必要があるかどうか、継続して経過の観察を行う必要があるか否か等を判断し、受診者に対し、必要な治療、検査、経過観察等の指導を行う義務を負う。

 そして、受診者は、人間ドックにおいて行われた便潜血検査で、連続して陽性反応ワンプラスが認められたので、病院としては、大腸癌等の悪性腫瘍又は消化管潰瘍の存在を疑い、内視鏡検査等の二次検査を自ら行うか、その受診を指導すべき義務があったのにこれを怠り、受診者に対し何らの二次検査、指導を行わなかった。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2017-07-06 09:00