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by 弁護士 赤井勝治

医師の応招義務について(続)(2)

 近時、インターネットの情報などの中には、医師と患者さんとの間の診療契約上の信頼関係が破壊されている場合には、診療を拒否しても、応招義務違反にはならないかのような記載が散見されます。

 このような記載は、以下の下級審の裁判例等を根拠にしているものと思われます。

 まず一つ目は、弘前簡易裁判所平成23年12月16日判決です。

 この判決では、「診療契約において、患者は身体や生命という重要な法益を医師に託し、医師とともに継続的に治療を行うのであるから、診療の実施にあたっては医師及び患者間に信頼関係が必要とされる。そして、上記信頼関係が失われたときは、患者の診療・治療に緊急性がなく、代替する医療機関等が存在する場合に限り、医師または医療機関がこれを拒絶しても、診療拒絶に正当事由があると解するのが相当である。」と判示しています。

 この事案は、患者さんが大学附属病院で不妊治療を受けていたところ、患者さんから病院に対し、かかる治療に関して訴訟が提起され、そのため病院側から患者さんに「転医及び診療延期のお願いについて」という書面が交付され、これが診療拒絶にあたるかが争われたというものです。
 
 裁判所は、上記書面の交付は、実質的に診療拒絶したものと解したうえで、患者さんからの訴訟提起により患者さんと大学附属病院との信頼関係は失われたと認定し、さらに、患者さんの診療・治療に緊急性がなく、大学附属病院の代替機関も存在したことから、診療拒絶には正当な理由が存在したと判断しました。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2017-03-02 09:00