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by 弁護士 赤井勝治

弁護士の立場から見た診断書作成について(6)

 前回に引き続き、後遺障害診断書についてです。

 交通事故における損害賠償の考え方としては、まず怪我が治癒した時期ないしは、この「症状固定」の時期(何年何月何日)を特定します。

 そして、原則として、賠償の対象となる治療費や休業損害補償、慰謝料は、この怪我が治癒した時期ないしは、「症状固定」の時期までに発生したものに限られます。

 この「症状固定」の時期以降の損害賠償については、後遺障害が認められる場合にのみ、その後遺障害の程度に応じて、本来その後遺障害がなければ労働によって得られたはずの利益(これを「逸失利益」といいます)及び後遺障害による慰謝料が賠償の対象となります。

 したがって、この「症状固定」の時期をいつにするのかは、損害賠償請求において、重要なファクターとなります。

 そして、前記のように、その判断は、最終的には裁判官ないしは保険会社が行うことになるのですが、その判断に決定的とも言えるほど大きな影響を与えるのが、医師によって作成される後遺障害診断書に記載される「症状固定」の時期の記載です。

 これを記載する医師としては、このような事情を十分に認識したうえで、当該患者さんが、前記の「症状固定」の定義にあてはまる状態になったのがいつなのかを慎重に判断して記載いただきたいと思います。

 現実には、患者さんが後遺障害診断書の作成を依頼されて、診察を受けられた日に、医師として、患者さんが前記のような状態にあると認められれば、その日を「症状固定」の時期と判断して記載されることが多いものと考えられます。
 ただ、診療録などの記載等からこれより前の時期が相当であると判断される場合には、その時期を記載いただきたいと思います。

 また、仮に、医師として、患者さんが未だ前記の「症状固定」の定義にあてはまる状態にはなっていないと判断される場合には、その旨を患者さんに説明していただき、現時点で後遺障害診断書を作成すべきか否かを再度検討していただくよう患者さんにお伝えください。

 患者さんのみならず、保険会社の担当者の中にも、「症状固定」の時期を決定するのは医師であると勘違いされている方が多くいらっしゃいますが、それは誤解です。
 医師からも、自分は、あくまで医学的見地から、「症状固定」の時期を決定するための資料として後遺障害診断書を作成するにすぎず、決定するのは自分ではない旨説明いただいても良いと思います。

  赤井・岡田法律事務所
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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2016-07-28 09:00