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by 弁護士 赤井勝治

弁護士の立場から見た診断書作成について(5)

 さらに、民事上の損害賠償請求のために使用する診断書としては、事故直後に作成される診断書のほかに、後遺障害診断書というものがあります。

 これは、その字のとおり、患者さんの交通事故による後遺障害についての診断内容を記載するものですが、その使用目的は、少々特殊といえます。

 すなわち、ここでいう「後遺障害」は、医学上いわれる「後遺症」とは異なり、自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償保障法施行令に準拠した交通事故に特有のものです。
 最も近いものが、労災における後遺障害ですが、これに準じてはいるものの、微妙に異なる部分もあります。

 その使用目的は、交通事故によって生じた後遺障害に基づく損害の賠償請求のためということになりますが、これを理解していただくためには、「症状固定」という概念を避けて通れません。

 ここでいう「症状固定」というのは、保険業界の造語であると言われており、損害賠償・保険論的な概念です。
 その「症状固定」の時期についての最終判断権者は訴訟になった場合には裁判官であり、示談により保険会社から保険給付を受ける場合には保険会社になります(請求者からの提示を保険会社が受け容れなければ、示談による解決は図れず、訴訟になるという意味でいえばそのようになります)。

 そして、この「症状固定」とは、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態であり、投薬・理学療法により症状の一時的な回復が見られるに過ぎない場合をいいます(平成12年に労働基準監督署から出された「労災保険における傷病が治ったとは」という定義と同一内容になります)。

 ここに「医学上一般に認められた医療」とは、労災保険の療養の範囲(基本的には健康保険に準拠)として認められたものを指します。

 また、「投薬」には、外用薬(軟膏、クリーム、ゲル、湿布、膏薬など)、注射(皮下、筋肉内、間接内、腱鞘内、静脈内注射、各種神経ブロック)も含まれ、「理学療法」には、西洋医学以外のいわゆる補完代替療法(CAM)と呼ばれるマッサージ、鍼灸、整体・矯正も含まれるものと考えて差し支えないと思われます。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2016-07-21 09:00