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by 弁護士 赤井勝治

弁護士の立場から見た診断書作成について(3)

 前回に引き続き、被害者が警察に提出する診断書の記載についてです。

 加療期間の見込みを記載していただく際には、その起算日は原則として、受傷日(事故日)からですが、受傷日からなのか本日(当該診断書発行日)からなのかを記載していただけると丁寧です。

 前回は、軽微な怪我については、2週間以内の期間で記載していただくのが弁護士の立場からすれば、相当であろうと考えている旨を述べました。

 逆に、実際には患者さんが重い傷害を負っている(負っている可能性がある)にもかかわらず、あまりに短い加療期間を記載してしまうと、その加害者の刑事処分が不当に軽くなってしまうおそれがあるため、こちらも注意が必要です。

 さらに、起訴された場合でも、裁判所が刑の軽重を決めるにあたっては、この加療期間が大きく影響します。
 刑を決めるにあたっての重要なファクターは、犯行(事故)態様、その結果、及び結果に対する賠償の有無等です。

 交通事故の場合には、酒気帯び、スピード違反、信号無視などの悪質な事情がない場合には、一律に過失犯(故意にではなく、不注意で犯してしまった犯罪)として扱われ、しかもほとんどの場合には加害者が対人無制限の任意保険に加入していて保険会社からの賠償が見込まれますので、結局、加療期間の長短という結果の軽重が刑を大きく左右することになります。

 行政処分というのは、運転免許に関する処分のことです。

 違反点数によって、この行政処分が定められていますが、人身事故の場合には、治療期間によっても、この点数が決まってくるため、期間が長いほど、重い行政処分を受ける可能性が高いことになります。

 治療期間のほかにも、事故態様なども考慮されますが、治療期間だけで見ると、たとえば、死亡事故だと免許取消、15日以上だとその期間に応じて30日間から90日間までの免許停止処分となります。

 ここでも、2週間を超えると、原則として免許停止処分になってしまうことになります。

 警察に提出するための診断書については、以上のような目的で使用されますので、その作成にあたっては、自ずとその使用目的に応じた記載をすることが求められることになります。

 形式的な記載事項は、患者さんの氏名・生年月日、傷病名、治療期間見込、診断書作成日、作成医師名ということになります。
 そして、傷病名については、前記のように、受傷した部位と外傷の内容(捻挫、打撲、骨折等)で足ります。

 そして、最も重要な治療期間見込については、前記のような事情をご理解いただいたうえで記載いただければと思います。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2016-07-07 09:00