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by 弁護士 赤井勝治

医師に対する行政処分について(7)

 本記事は、厚生労働省HPで公開されている「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について」の改正について(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000024nfz.html)掲載の「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について(平成24年3月4日改正)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000024nfz-att/2r98520000024nvn.pdf)を加工して作成させていただいております。

 (12)税法違反(所得税法違反、法人税法違反、相続税法違反等)

 脱税も医師としての業務に直接関わる事犯ではありませんが、医師としての品位を損ない、信頼感を喪失せしめることから、処分の対象となります。
 行政処分の程度は、基本的には司法手続における刑事処分の量刑などを参考にします。
 なお、医療は、非営利原則に基づいて提供されるべきものであることから、医業にかかる脱税は、一般的な倫理はもとより、医師としての職業倫理を欠くものと認められることから、特に診療収入にかかる脱税など医業にかかる事案は、重めの処分とされます。

 (13)診療報酬の不正請求等(診療報酬不正請求、検査拒否(保険医等登録取消))
 
 診療報酬は、医療の提供の対価として受ける報酬であり、我が国の医療保険制度において重要な地位を占めており、これを適正に受領することは、医師に求められる職業倫理においても遵守しなければならない基本的なものです。
 診療報酬不正請求は、非営利原則に基づいて提供されるべき医療について、医師としての地位を利用し社会保険制度を欺いて私腹を肥やす行為であることから、診療報酬の不正請求等により保険医等の登録の取消処分を受けた医師については、当該健康保険法に基づく行政処分とは別に医師法による行政処分の対象となります。
 そして、当該不正行為は、医師に求められる職業倫理の基本を軽視し、国民の信頼を裏切り、国民の財産を不正に取得しようというものであり、我が国の国民皆保険制度の根本に抵触する重大な不正行為であると言えます。
 したがって、その行政処分の程度は、診療報酬の不正請求により保険医の取消を受けた事案については、当該不正請求を行ったという事実に着目し、不正の額の多寡に関わらず、一定の処分とされます。
 ただし、特に悪質性の高い事案の場合には、それを考慮した処分の程度とされます。
 また、健康保険法等の検査を拒否して保険医の取消を受けた事案については、検査拒否という行為が、社会保険制度の下に医療を行う医師に求められる職業倫理からして到底許されないことから、より重い処分とされます。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2016-01-28 09:00