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by 弁護士 赤井勝治

医療事故における刑事処罰について(4)

 既に述べてきたように医療行為が社会的に正当な行為と評価されているからこそ、刑事責任を問われないということと、そもそも安易な刑罰権の発動は慎まれなければならないということからすれば、医療事故において刑罰権を発動すべき場合については、その際に行われた医療行為が社会的に正当な行為とは評価できない程度に相当性を欠いていた場合に限定して考えるべきであるということになります。

 このような思考過程を経て、医療事故における刑事処罰についての私の考えは以下のようになります。

 すなわち、私は、医療行為であるという理由だけで、刑罰(業務上過失致傷罪等)の適用を差し控える必要はないと考えています。
 もとより医療行為には患者の生命身体に対する危険がつきものであり、しかも、医師はその時々で専門的知見に基づく迅速な判断が求められます。
 そういった意味で、医療行為については、医師に一定の裁量が認められてしかるべきであり、その裁量が社会的な相当性を逸脱するものではない限り、その裁量の範囲内であれば当・不当の問題は生じたとしても、安易に刑事責任が課されるようなことはあってはならないと思います。

 そうでなければ、医師は結果責任をおそれるあまり、リスクのある治療行為や先進的な医療行為を行うことを躊躇し、従来から行われている無難な治療行為に終始することとなり、結果的に医療技術の進歩を妨げるなどの弊害が生じかねません。

 また、責任を回避するために、より高次の医療機関へのたらい回しなどの問題も発生することになります。

 このように、私は、医療行為に対する刑罰権の発動は慎重に行われることが強く要請されるものと考えています。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-11-26 09:00