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by 弁護士 赤井勝治

医療事故における刑事処罰について(2)

 患者の取り違えや投与した薬品の誤りといった単純な過失によらない事案については、どのように考えるべきでしょうか。

 今日、医療は高度に専門分化しており、医療行為についても、高度な専門的知見に基づく迅速な判断・対応の求められるものが少なくありません。
 そのような医療行為の特性からして、医療事故においては、民事上の賠償責任の有無を判断することでさえ容易ではないことがほとんどです。
 そして、そもそも刑罰権の発動は謙抑的になされるべきであるという要請があることから、民事上の賠償責任すら否定されるようなケースにおいては、通常、刑事責任が肯定されることはないものと考えられます。

 民事責任を追及された場合であっても、医療従事者は、訴訟提起をされて被告としての対応を余儀なくされるなど、その負担は決して軽いものではありません。

 これが刑事責任の追及となると、医療従事者の被る負担は半端ではありません。
 仮に逮捕・勾留までされれば、身柄拘束という最大の自由制限を受けることになります。
 また、逮捕されたというだけで、世間からはあたかも有罪であることが確定したかのような評価や取扱を受けるおそれがあります。
 いくら、法律上は、裁判で有罪が確定するまでは無罪の推定が働くのだと言ってはみても、そこに世間の風評を左右するだけの力はありません。

 このように刑事責任を追及される立場に立たされること自体が、医療従事者にとっては耐え難い重い負担となります。

 このような観点からすれば、安易な刑罰権の発動は慎まれなければならないと考えられます。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-11-12 09:00