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by 弁護士 赤井勝治

医療機関に対する情報照会について(2)

 医療機関が、裁判所、警察・検察庁、弁護士会からの照会を受けた場合の対応の際に問題となるのが、守秘義務と個人情報の保護についてです。

 守秘義務については、刑法に秘密漏示罪(刑法134条1項)が規定されています。
 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師は、「正当な理由がなく」その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。

 ここに「正当な理由がなく」とは、「違法に」という意味であり、正当な理由がある場合には、違法性が阻却され、秘密漏示罪は成立しません。
 たとえば、漏示が法律上の義務である場合には、違法性が阻却されるので、秘密漏示罪は成立しません。
 なお、この罪は親告罪とされていますので、告訴がなければ、処罰されることはありません。

 次に、個人情報の保護については、個人情報保護法が規定しており、個人情報取扱事業者は、「法令に基づく場合」には、あらかじめ本人の同意を得ないでも、個人データを第三者に提供することが認められています。

 この点、医療機関では、社団法人全日本病院協会個人情報保護担当委員会編著による「個人情報保護法に関するQ&A」がよく利用されていると思われますので、これを見てみることにします。

 これによると、裁判所からの調査嘱託については、裁判所からの要請には本人の同意なく応じても問題なく、それは裁判所が法的判断をする権限を付与されている機関であるからとされています。

 また、警察・検察庁からの捜査関係事項照会については、「法令に基づく場合」に該当するので、同法違反にはならない。プライバシー権の侵害に当たるとして民法により損害賠償請求される危険性は理論上ありえるものの、裁判にまで発展する可能性はそれほど高いとは考えられないので、回答するか否かについては、個々の施設において判断すべきものとされています。

 さらに、弁護士会からの23条照会については、「法令に基づく場合」に該当するので、同法違反にはならないが、プライバシー権の侵害に当たるとして民法により損害賠償請求される危険がある。よって、本人の同意書をつけてもらえば回答する旨回答するのが安全であり、本人の同意書を得られない場合は、回答をしない方が損害賠償請求される可能性がないという点では安全であるとされています。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-10-08 09:00