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by 弁護士 赤井勝治

医療機関の事業承継について(4)

 前回は、医療機関の事業承継の具体的な手立として、遺言書の作成について述べました。

 この遺言書の作成よりも、より確実に、事業用財産や医療法人の出資持分を二男に単独で取得させる方法としては、二男に対する生前贈与が考えられます。
 確定的に二男が事業用財産や医療法人の出資持分を単独取得できるうえ、早期に経営の引き継ぎができるなどのメリットがある反面、父親が生前から事業用財産や医療法人の出資持分を失ってしまうことになる点がネックです。

 また、単純に贈与して贈与税を支払うとなると、贈与税がかなり高額となるため、相続時精算課税制度を利用する必要があります。

 この相続時精算課税制度とは、贈与時に贈与財産に対する贈与税(特別控除額である2,500万円を超える部分についての20%相当額)を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。簡単に説明すれば、この制度を利用すれば、最終的には贈与税率ではなく、これよりも低い相続税率で相続時に精算されるというものです。
 利用する場合のメリット・デメリットはありますが、支払う税額は単純に贈与して贈与税を支払う(これを暦年贈与といいます)場合と比べて、通常は低額ですみます。

 生前贈与を利用する場合には、このように相続時精算課税制度の利用が必要となりますが、遺言の場合と同様に、二男以外の相続人の遺留分を侵害しないようにする必要もあります。
 というのも、遺留分侵害の有無を判断するにあたっては、法定相続人に対する生前贈与分も原則として遺産に加算して計算することになるからです。

 したがって、ここでも、遺言や遺産分割によって、二男以外の母親や長男に対し、事業用財産や医療法人の出資持分以外の財産で、それぞれの法定相続分の2分の1以上に相当するものを相続させるようにする必要があります。

 さらに、ここでも、二男の相続税納税資金の手当てもしておく必要があります。

 結局のところ、事業承継の対策として、遺言書の作成と生前贈与のいずれが最適かについては、現経営者の意思や財産構成等によって異なるため、事案ごとに判断せざるを得ません。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属) 
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by motomame | 2015-06-25 09:00