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by 弁護士 赤井勝治

医療機関の事業承継について(3)

 今回は、医療機関の事業承継の具体的な手立てからです。

 まず、一般的には、遺言書の作成が考えられます。

 すなわち、父親が、事業用財産や医療法人の出資持分を二男に単独で全て相続させる旨の遺言書を作成しておくのです。

 遺言書には、自筆証書遺言(遺言者が作成のルールに従って自筆で作成するもの)、公正証書遺言(公証役場に行って公証人に作成してもらうもの)、秘密証書遺言(遺言内容を誰にも知られたくない場合に作成のルールに従って遺言者が作成し、公証役場で封紙をしてもらうもの)があります。それぞれにメリットとデメリットがありますが、確実性という観点からは、公正証書遺言にされることをお勧めします。

 この場合に、配慮しなければならないのが、二男以外の相続人の遺留分を侵害しないようにすることです。この遺留分とは、遺言によっても奪うことのできない法定相続人の遺産に対する権利(取り分)であり、兄弟姉妹以外の相続人には、法定相続分の2分の1が認められています。

 この遺留分が侵害されている場合、要するに遺言によって法定相続分の2分の1を取得できなくなった場合、侵害された相続人は、この法定相続分の2分の1を取得させるよう請求することができます(これを遺留分減殺請求と呼びます)。

 せっかく事業用財産や医療法人の出資持分を二男が単独で全て取得できるよう遺言書を作成しても、この遺留分減殺請求がなされると、遺言内容を実現できないおそれがあります。

 したがって、遺言により二男以外の母親や長男に対し、事業用財産や医療法人の出資持分以外の財産(自宅など医院以外の不動産や現預金、有価証券等)で、それぞれの法定相続分の2分の1以上に相当するものを相続させるようにしておかなければなりません。
 
 また、二男の相続税納税資金の手当てもしておく必要があります。というのも、二男に事業用財産や医療法人の出資持分を集中させるとともに、母親や長男の遺留分に配慮すると、結果的に現預金のほとんどは母親や長男が相続することとなり、二男が相続税を支払えなくなるおそれが生じるからです。特に、医療法人の出資持分は、いざ評価してみると、かなりの高額に及ぶことが少なくありませんので、そのおそれは大です。
 その手当としては、父親が二男を受取人とする生命保険に加入しておくことなどが考えられます。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-06-18 09:00