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by 弁護士 赤井勝治

医療法人の出資持分をめぐる課題について(4)

 前回の具体例の続きです。

 医療法人の出資持分の半分を有する理事長が亡くなった場合で、理事長には、出資持分以外に3億円の金融資産(預貯金等)と2億円の不動産資産(自宅の土地建物等)があり、相続人は配偶者と子2人とします。
 そして、医療法人の剰余金が10億円以上にのぼり、債務等を控除してもなお純資産額が10億円になったとします。

 この例でいくと、医療法人の出資持分の5億円について、その2億5000万円分を配偶者が、残りの半分1億2500万円分ずつを2人の子がそれぞれ相続することになります。

 そして、2人の子のうち1人は当該医療法人に勤務する医師であるのに対し、もう1人は別の職業についていて医療法人の経営には全く興味がないような場合、この子のうちの1人から医療法人に対して、相続した出資持分の払戻を請求される可能性が考えられます。

 この場合、医療法人は、一括で1億2500万円を支払う必要に迫られます。
 上の例では、医療法人に10億もの剰余金が内部留保されているので支払いに困るような事態にはならないでしょうが、このように高額な払戻請求がなされると医療法人によっては、その経営に多大な影響のある場合も考えられるところです。

 以上、出資持分のある医療法人が、出資持分があるが故に抱えている課題について述べてきました。

 今回は、どのような問題が生じうるのかという点に言及するにとどめますが、大切なのは、まず、問題が生じうるのだという認識を持っていただくことです。
 預貯金等の金融資産が豊富にあるからといって楽観視していては手痛い目に遭うおそれがあります。

 出資持分のある医療法人の全てにつき、問題が生じるわけではありませんが、その可能性を十分認識したうえで、事前に講じることのできる対策がある場合には、検討していただければと思います。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-05-28 09:00