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by 弁護士 赤井勝治

福島・大野病院事件(5)

 今回は、このテーマの最終回です。

 4回にわたって、過去に起きた福島・大野病院事件について、事件の概要やこれに対する私の意見などを述べてきました。

 前回は、医療行為に対する刑罰権の発動は慎重に行われることが強く要請されるべきである旨を述べました。
 これが安易に行われると、医療の萎縮効果を招き、また、責任回避のためのたらい回しなどの弊害発生のおそれがあると考えられるからです。

 このように慎重さは要請されるべきですが、既に述べているように、私は、医療行為であるという理由だけで、業務上過失致傷罪の適用を控える必要はないと考えています。

 福島・大野病院事件では、県立大野病院医療事故調査委員会報告書の記載、すなわち、調査結果として「出血は子宮摘出に進むべきところを、癒着胎盤を剥離し止血に進んだためである。胎盤剥離操作は十分な血液の到着を待ってから行うべきであった。」などとされていた点に、検察官が影響を受けた可能性も考えられました。

 もし仮に、その影響によって、慎重に十分な検討が行われていなかったとすれば、問題です。

 群馬大学医学部附属病院のケースについても、既に述べたように、過失があったと判断した内容の事故調査報告書が公表されています。

 今後、担当医師の刑事責任が問題とされる可能性がありますが、その場合には、捜査機関の対応に注目したいと思います。
 慎重に十分な検討を加えたうえで、適切な刑罰権の行使が行われることを期待します。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-04-30 09:00