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by 弁護士 赤井勝治

福島・大野病院事件(4)

 前回は、福島・大野病院事件において、検察官による十分な検討が加えられていれば、そもそも起訴をせずに不起訴処分とすることも考えられた事案であるという意見を述べました。

 今回は、その続きです。

 私は、医療行為であるという理由だけで、業務上過失致傷罪の適用を控える必要はないと考えています。
 
 しかしながら、医療行為といっても様々なケースがあり、本件のような医師の専門的な知見に基づく判断の当否が問われるような事案においては、捜査機関にはより慎重な検討が要求されるものと考えます。

 もとより医療行為には患者さんの生命身体に対する危険がつきものであり、しかも、医師はその時々で専門的知見に基づく迅速な判断が求められます。

 そういった意味で、医療行為については、医師に一定の裁量が認められてしかるべきであり、その裁量が社会的な相当性を逸脱していない限り、その裁量の範囲内であれば当・不当の問題は生じたとしても、安易に刑事責任が課されるようなことはあってはならないと思います。

 そうでなければ、医師は結果責任をおそれるあまり、リスクのある治療行為や先進的な医療行為を行うことを躊躇し、従来から行われている無難な治療行為に終始することとなり、結果的に医療技術の進歩を妨げるなどの弊害が生じかねません。

 また、責任を回避するために、より高次の医療機関へのたらい回しなどの問題も発生することになります。

 このように、医療行為に対する刑罰権の発動は慎重に行われることが強く要請されます。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-04-23 09:00