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by 弁護士 赤井勝治

福島・大野病院事件(3)

 前回までに、福島・大野病院事件において、検察官が起訴した控訴事実の概略とこれに対する裁判所の判断、すなわち、担当医師の注意義務違反(過失)を否定したというところまでを説明しました。
 今回は、その続きです。

 刑事裁判では、犯罪の成立を証明する責任は検察官にありますので、結果的に、本件では検察官が担当医師に過失があったことを証明できなかったことになります。

 ここでの過失の有無は、当時の医学的準則に反していたかどうかが基準となることから、検察官は医学文献や医師の鑑定による証明を試みましたが、用手剥離開始後に癒着胎盤が判明した場合の臨床例の提示ができなかったなど、癒着胎盤であると認識した場合には直ちに胎盤剥離を中止して子宮摘出に移行することが本件当時の医学的準則であったとの証明ができませんでした。

 この点は、元検事であった立場から言わせてもらえば、犯罪が成立するための重要なポイントですので、当然に起訴をする段階で十分に検討が加えられていてしかるべきであったと思います。

 本件では、担当医師の逮捕までに1年近くの時間があり、その間に福島県の事故調査委員会によるカルテ等の証拠保全や関係者による事情聴取も行われていたのですから、十分に検討を加えることは可能であったと考えられます。

 もし、十分な検討が加えられていれば、そもそも起訴をせずに不起訴処分とすることも考えられた事案であると思います。

 さらに言えば、担当医師を逮捕する必要性もなかったのではないかとさえ考えられるところです。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
 
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by motomame | 2015-04-16 09:00