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by 弁護士 赤井勝治

福島・大野病院事件(2)

 前回の続きです。

 福島・大野病院事件で、検察官が起訴した事実(公訴事実)の概略は、次のとおりです。

 担当医師は、胎盤と子宮を用手剥離しようとして胎盤が子宮に癒着していることを認識したが、このような場合に胎盤の剥離を継続すれば、大量に出血し患者さんの生命に危険の及ぶおそれがあった。
 したがって、担当医師は、直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出手術等に移行すべきであったのにこれをせずに、クーパーを用いて剥離行為を継続したことが過失にあたり、業務上過失致死罪が成立する(今回は医師法21条違反の点には触れません)。

 裁判では、多岐にわたる争点が争われました。

 裁判所は、担当医師の剥離行為と患者さんの死亡との間に因果関係を認めました。
 また、裁判所は、担当医師には剥離行為を継続すれば患者さんが死亡するかもしれないと予見する可能性があり、直ちに剥離を中止して子宮摘出に移行することは可能であったし、そうすれば死亡という結果を回避することも可能であったと判断しました。

 しかしながら、検察官が主張・立証するように癒着胎盤であると認識した場合には直ちに胎盤剥離を中止して子宮摘出に移行することが本件当時の医学的準則であったとは認められず、担当医師には胎盤剥離を中止する義務があったとは認められないとして、注意義務違反(過失)を否定しました。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-04-09 09:00