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by 弁護士 赤井勝治

医療事故調査制度について(2)

 前回に引き続き、医療事故調査制度の概要を紹介いたします。

 今回は、前回より、もう少し詳しく見ていくことにします。

 まず、対象となる医療事故については、当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとされています。
 このように、対象となる医療事故は、全ての医療事故ではなく、医療機関の管理者が予期しなかった患者の死亡又は死産事故に限定されています。

 これに対し、対象となる医療機関については、病院、診療所又は助産所とされており、特に限定はされていないので、全ての医療機関が対象となります。
 よって、医師が一人しかいないような診療所であっても対象となります。
 このような診療所であっても、他の医療機関と同様に、内部調査を行わなければなりません。その際には、他の医療機関と同様に、外部の支援団体(医学医術に関する学術団体その他の厚生労働大臣が定める団体)に必要な支援を求めて行うものとされています。

 そして、厚生労働大臣から指定を受けた一般社団法人又は一般財団法人(いずれも医療事故調査を行うこと等により医療の安全の確保に資することを目的とするもの)が、その申請により、医療事故調査・支援センターの任を担うことになります。
 この医療事故調査・支援センターは、病院等の管理者から報告を受けて、情報の整理及び分析を行ったり、病院等の管理者又は遺族からの依頼を受けて調査を行うなど医療事故調査制度における重要な役割を担うほか、医療事故の再発防止に関する普及活動を行い、医療の安全の確保を図るために必要な業務を行うとされています。

 法律上、医療事故調査・支援センターから警察に直接通報する旨の規定はおかれておらず、この点、厚生労働省も、制度の目的は医療事故の原因究明と再発防止にあるので、医療事故調査・支援センターから、警察に直接通報はしないとしています。
 ただし、医療事故調査・支援センターの調査報告書等を医療機関等に対する責任追及や訴訟に使用できない旨の規定も置かれていないため、遺族が、調査報告書等を刑事や民事の責任追及の資料として使うおそれがあります。
 この点は問題であり、いくら制度の目的が医療事故の原因究明と再発防止にあるとはいえ、法律上調査報告書等を医療機関等に対する責任追及や訴訟に使用できない旨明記されない限りは、結果的に、調査報告書等が刑事や民事の責任追及の資料として使われるのではないかということが危惧されます。

 また、費用負担の問題もあります。
 まず、内部調査の費用については、明記はされていませんが当該医療機関が負担することになるものと考えられています。
 次に、医療事故調査・支援センターへ調査を依頼した場合の費用負担についても明記されていないため、誰が負担するのかが問題となります。この点、厚生労働省は、医療事故調査・支援センターの行う調査の費用は、45万円~90万円になり、そのうちの5,000円~5万円程度を遺族側に負担してもらうことを想定しているようです。
 その残額が全て、医療機関側の負担ということになれば、医療機関にとって酷な結果になると思われます。

 なお、これらの医療事故調査制度に関する改正規定は、平成27年10月1日から施行されます。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2015-01-29 09:00