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by 弁護士 赤井勝治

医療訴訟における医師の鑑定について(3)

 前回までに、裁判所が円滑に鑑定人を選任しようとするのであれば、少なくともネガティブな3つの要素は、これを排除する必要があり、その一つ目の要素についてまでを述べてきました。その続きです。

 ②(法廷で人格攻撃などの質問をされ、不快な思いをした経験がある)については、
(ア)事前に裁判所と訴訟当事者(その双方の代理人弁護士)との間で、提出された鑑定書の内容について協議し、鑑定人に対する質問項目を絞らせることにより、鑑定事項とは関係のない質問を排除すること
(イ)法廷で行われる鑑定人の証人尋問は行わず、これに代えて、補充鑑定書の提出や書面による尋問に対する回答書の提出を求めたり、裁判所が主導的に鑑定人に対する(補充)質問を行うようにすること
(ウ)法廷で鑑定人の証人尋問を行う場合であっても、通常の法廷ではなく、ラウンドテーブル法廷(裁判官や当事者、代理人弁護士が丸いテーブルを囲むように着席して手続を行う法廷)等、裁判所における和やかな雰囲気の場所を利用すること
(エ)法廷ではなく、鑑定人の就業先である病院に赴いて、鑑定人に対する補充質問を実施する
などのさまざまな工夫がなされています。

 ③(何をどのように鑑定すればいいのかが分かりにくい)については、裁判所が、鑑定人(候補者)に対して、鑑定の手続を分かりやすく説明したCD-ROMやパンフレットのほか、当該事件の概要等を分かりやすく説明した資料を交付することで、鑑定手続自体に対する理解を得る努力がなされています。

 また、そもそも、鑑定人が「何をどう鑑定すればいいのかが分かりにくい」といった不満をあげているのは、裁判所主導の争点整理が不十分なまま、いわゆる丸投げに近い形で鑑定人に鑑定が託されてしまうため、鑑定人にとって、何が争点で、何を鑑定すればいいのか分からないまま鑑定が行われてしまうという機能不全に陥っているからではないかとの指摘があります。

 そこで、こういった指摘を受けて、裁判所にも、争点整理を徹底し、鑑定人の意見も聴きながら、鑑定事項を絞り込むことが重要であるとの認識が広まってきています。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
 
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by motomame | 2015-01-08 09:00