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by 弁護士 赤井勝治

医療訴訟における医師の鑑定について(2)

 前回は、裁判所が円滑に鑑定人を選任しようとするのであれば、少なくとも前回述べた①~③のようなネガティブな要素を排除する必要があるというところまででした。
 その続きです。

 ①(時間と労力をとられ、精神的負担が大きすぎる)については、従来から、鑑定といえば、一人の鑑定人が、膨大な裁判記録を精査し、鑑定意見を書面にして提出するというのが一般的なやり方です。

 しかし、このやり方では、文章で説明することが難しいことも少なからずあり、鑑定書という医師が日常の業務で作成することのない書面の作成を強いられ、場合によっては鑑定人として法廷で説明を求められたりするため、鑑定人の負担感がきわめて大きいという問題点がありました。

 たとえば、血管や臓器などの位置関係や画像の読影が問題となるような事案では、鑑定人が画像を診ているその場で所見を説明してもらえれば、現実の医療行為に近いシチュエーションで鑑定人の意見が聴けるという利点があるといえます。

 そこで、最近では、画像の読影が問題となるような事案においては、鑑定人に鑑定書の作成・提出を要求せず、実際に画像を読影して得られた所見を口頭で説明してもらい、それを鑑定意見とする鑑定方式が採用されることも出てきました。この場合、鑑定人の説明を、裁判所ではなく、鑑定人の病院で聴くという方法で行うことによって、鑑定人の負担を軽減する工夫もなされています。

 また、鑑定人によって鑑定結果に違いが生じてしまうような事案であったり、一人ではなく複数の鑑定人を選任し、複数の鑑定人らの議論を通じて問題点を検討することが事案の解明により資すると考えられる事案については、複数の鑑定人を選任して、それぞれに鑑定書を作成してもらったり、複数の鑑定人に共同で鑑定書を作成してもらうという工夫もなされています。

 その他、鑑定人の物心両面の負担を軽減する工夫としては、(ア)争点整理を徹底し、鑑定が必要な事件を絞ること、(イ)電話会議、テレビ会議を活用することなどがなされています。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
 
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by motomame | 2014-12-25 09:00