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by 弁護士 赤井勝治

安全配慮義務について(1)

 今回は、医療機関が負う患者さん等の安全を確保する義務(安全配慮義務)について述べていきます。

 少し前に、福岡市で、多数の入院患者さんが死傷されるという病院火災がありました。この件でも、医療機関が負う患者さんの安全を確保する義務が問題になることが考えられます。

 安全配慮義務は、最高裁判所の判決(昭和50年2月25日判決)によって確立され、その内容については、「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務」であるとされます。

 典型的なものとしては、労働契約における使用者の労働者に対する安全配慮義務が挙げられ、この点、平成20年3月に施行された労働契約法では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」(同法第5条)という形で明文化されました。

 そして、診療契約においても、この安全配慮義務が認められ、医療機関は、患者さんや医療施設の利用者に対して、生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負います。

 診療契約において、この安全配慮義務が問題となる例として分かり易いのは、病院の施設内での転倒事故やベッドからの転落事故です。
 一般的に言えば、医療機関は、病院の施設内での転倒事故やベッドからの転落事故が発生しないように配慮する義務を負っているということになります。
 医療機関が、この安全配慮義務に違反して患者さんなどに負傷が生じた場合には、医療機関は損害賠償義務を負います。

 では、どのような場合に、安全配慮義務に違反したと判断されるのでしょうか。
 この点、その判断はケースバイケースと言わざるを得ず、個別具体的な事案に則して判断するほかはありません。
 一般論としては、事故にあった方の具体的な状況(年齢、直前の行動等)や事故発生場所の設備状況、これまでに同種の事故発生があったかどうかなどの諸事情に照らして、医療機関が当該事故の発生を予見することができたにもかかわらず、これを回避するための相当な措置を講じていなかった場合に、安全配慮義務に違反したと判断されることが多いと考えられます。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2014-12-04 09:00