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by 弁護士 赤井勝治

訴訟における証人尋問・本人尋問について(2)

 前回は、訴訟における証人尋問・本人尋問とは何かについての基本的な事項を説明しました。
 今回は、その続きです。

 和解による解決ができず、各当事者の主張する「事実」のうち裁判官の言い渡す判決に影響を及ぼすであろう重要な「事実」に争いがあり、双方から提出されている証拠からはどちらの主張する「事実」が「真実」であるのかの判断ができないような場合には、裁判官が当事者本人や関係者の話を直接聞いたうえで何が「真実」であるのかを決めざるを得ません。
 このように、証人尋問や本人尋問は、おおむね裁判の最終場面で行われるものと言うことができます。

 なお、実際の裁判では、「弁論手続」や「弁論準備手続」の中で提出された準備書面等や証拠により、裁判官は何が「真実」であるのかについてあらかじめ心証を形成(内心的判断を)しており、尋問はその確認のために行われることが多いと思われますが、それでもなお証人尋問や本人尋問でのみ明らかになる事柄もあり、ときにはそれが裁判官の心証を変えてしまうこともあります。

 尋問が行われる裁判期日当日、証人や原被告本人は、宣誓書に署名をし(認め印の押印も必要です)、傍聴人のいる公開の法廷で、裁判官に向かって、その朗読をします。
 「良心にしたがって本当のことを申し上げます。知っていることを隠したり、ないことを申し上げたりなど、決して致しません。右のとおり誓います。」と読み上げるのです。
 この宣誓に反するような発言があった場合、証人は偽証罪で処罰される可能性がありますので、宣誓の後、裁判官からその旨の注意があります。
 原告・被告本人は偽証罪で処罰されることはありませんが、過料という行政罰の制裁を受ける可能性があることが注意されます。

 上記のほか、裁判官からは、手続を進めるにあたっての注意すべき事項についても説明があります。
① 質問を必ず最後まで聞いてから答えること
② (証言台の)正面にいる裁判官に向かって答えること(左右にいる自分の代理人弁護士や相手方弁護士の方に向かって答えないこと)
③ 質問をされたとき、「はい」か「いいえ」で答えることができるものであるときは「はい」か「いいえ」とだけ答えること(具体的な内容は質問者などから促されてから発言すること)
 このようなことを指示されます。
 ①と②は、法廷でのやりとりについて録音がされており、それを元にして調書が作成されるので、声が重ならないように、きちんと発言を録音できるようにという趣旨で指示されるものです。
 ③については、意外に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
 特に原告・被告本人の立場にある者からすると、それまで書面のやりとりばかりだったので、裁判官に自分の生の声を聞いて欲しい、自分の主張を直に裁判官に伝えたいと思われるかもしれません。

 この点、尋問は裁判官が当事者や関係者の話を聞く手続であると書きましたが、あくまでそれは、裁判官が争点となっている事柄について判決を言い渡すために必要な「真実」を探究する目的で行われるものであって、当事者や関係者が言いたいことを自由に発言できる手続ではないのです。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2014-10-09 09:00