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by 弁護士 赤井勝治

診療報酬の回収について(1)

 患者さんの医療機関に対する一部負担金の未払は今や社会問題化しています。

 一部負担金については、国民健康保険や健康保険において、保険者と被保険者との関係(公法上の債権債務関係)であるという側面がありますが、その窓口払いについては、医療機関と患者さんとの間の債権債務関係であると解されています。
 誤解を怖れずに単純化して言えば、医療機関は、患者さんに対して、一部負担金を診療の対価として請求することができるということです。
 以下、この一部負担金も含め、窓口で支払われる診療の対価等を単に診療報酬と呼ぶことにします。

 診療報酬を請求する相手方は、通常、診療契約の当事者である患者さん本人です。
 このほか、診療報酬について、医療機関が(連帯)保証人との間で、(連帯)保証契約を締結していれば、その(連帯)保証人も請求の相手方になります。

  (連帯)保証人をつけなければ診療をしないとすることは問題ですが、診療報酬の確実な回収のためには、患者さんや(連帯)保証人が任意に応じるのであれば、(連帯)保証人をつけてもらうことが望ましいと言えます。

 請求の方法としては、通常は、口頭や書面(請求書の発送)での請求が行われています。
 しかし、このような請求を繰り返し行っても、患者さんが一向に支払わない場合にはどうすればよいのでしょうか。

 そのまま放置しておくと、診療報酬債権は消滅時効により請求できなくなってしまうおそれがあります。

 それではここで、先に、消滅時効のお話しをしておきましょう。
 消滅時効というのは、一定期間の経過によって債権が消滅してしまう民事上の制度です。ただ、単に一定の期間が経過すれば、自動的に債権が消滅してしまうわけではなく、法律で定められた一定期間が経過した後に、債務者が消滅時効という制度を使うという意思を表示(これを援用と言います)してはじめて債権が消滅します。

 診療報酬については、民法170条で、消滅時効期間は3年と定められています。これは通常の債権の消滅時効期間が10年とされているのと比べて、その期間が短く、短期消滅時効と呼ばれています。
 このように診療報酬については、3年という短期消滅時効期間が定められているため、きちんとした管理(これを「時効管理」といいます)をしておかないと、すぐに消滅時効により請求ができなくなってしまうおそれがあります。なお、公立病院における診療報酬についても、この時効期間は同じ3年です(最高裁判所平成17年11月21日判決)。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2014-07-10 09:00