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by 弁護士 赤井勝治

大規模災害と医療機関の責任(2)

 前回は、地震による災害によって、医療機関が抱える可能性のある法的問題のうち、①建物などの倒壊・損傷によって患者さんに被害が発生した場合の問題について述べました。
 今回は、②以降についてです。

 停電や断水によって医療機器が使えなくなくなり、患者さんに症状悪化や死亡という損害が出た場合、どう考えればよいでしょうか。

 医療機関としては、患者さんとの間で診療契約を締結しておりますので、一定の水準以上の診療を提供する義務があり、それができなければ債務不履行として、損害賠償責任を負うことになります。

 ある医療機器について、停電や断水時にそれをバックアップする非常用電源や非常用水源などを兼ね備えていることが、同じ規模の医療機関において一般的であるといえるにもかかわらず、非常用電源・水源を兼ね備えていなかった場合には、問題となります。
 その場合、医療機器が、電源や水源がなくなって稼働しなくなり、現に治療中の患者さんの容態が悪化したり、死亡した場合には債務不履行による損害賠償責任を負うことになります。
 また、バックアップする機能がついているにもかかわらず、それを活用しなかった場合にも同様の責任を問われることがあり得ます。
 したがって、医療機関としては、停電時や断水時の医療機器の稼働を維持するためにはどうすればよいのかについて普段から検討を怠らないようにすべきでしょう。

 最後に、大規模災害により診療が継続できなくなった場合です。

 医療機関としては、診療が継続したくても、地震などにより設備が損壊したり、スタッフを確保できなくなって、診療継続が困難となったとき、患者さんの診療をお断りすることが、法的には問題はないかということです。

 医師法19条には、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と規定されていますが、大規模災害によって診療継続ができない場合は、この正当な事由に当たると考えられるので、診療を拒んでも医師法違反にはならないと考えられます。

 大規模災害はいつ起こるか分かりませんが、ある程度の備えをすることによって被害を軽減することはできるものです。
 普段からどのように防災の備えをしておくのかについて、この機会に一度お考えいただければと思います。 

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2014-06-19 09:00