医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。赤井・岡田法律事務所HP: http://www.akai-okadalaw.com


by 弁護士 赤井勝治

医師の裁量(3)

 「医師の裁量」が問題となる具体的場面
  「医師の裁量」は、医師の医療行為全般について問題となりうるのですが、これまでに具体的に問題となっている場面としては、診断、治療方法の選択、治療措置の範囲・時期、患者への説明方法、告知、新療法の採否などがあります。

 また、近時、新療法の採否と「医師の裁量」が新しい問題となっています。新療法や試行的な治療行為を選択した場合における「医師の裁量」については、治療方法としての効用、危険性などが既に判明している通常の治療方法と同列に論じることはできません。学説においては、概ね医師の裁量を認めつつも、患者の意思決定がより重要であり、他の手段との比較考慮は厳格に行われるべきとされています。

 この点については、札幌地裁昭和53年9月29日判決があります(判例タイムズ368号132頁)。これは、精神症状に対する治療として、評価が定着していなかったロボトミー手術(前頭葉に侵襲を加える手術)を行った事案ですが、裁判所は、「適応性の選択に慎重を期し、かつ、他の療法を十分試みたうえで最後の手段として用いることという制約が存し」、「とりわけロボトミーのように手術がその適応性ないしは必要性において医学上の見解が分かれており、また、重大な副作用を伴うものである場合には手術を受けるか否かについての患者の意思が一層尊重されなければならない。」と判示しています。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
[PR]
by motomame | 2014-05-15 09:00