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by 弁護士 赤井勝治

医療従事者に対する患者の暴力・暴言に対する傾向と対策(1)

 今回は、最近問題が深刻化している院内における医療従事者に対する患者の暴力・暴言について、その傾向と対策を述べてみたいと思います。

 2008年4月21日に社団法人全日本病院協会の院内暴力等に関する実態調査ワーキンググループは、院内暴力の実態について調査の結果を発表しました。
 それには、回答した1106病院のうち、52.1%の病院が院内暴力の事例を経験しており、院内での患者からの暴力がかなりの頻度で発生していることがわかります。
 しかし、そのうち、警察への届出がなされている事例が5.8%、弁護士への相談がなされている事例が2.1%であり、院内で問題を抱え込んでいる実態が明らかとなっており、医療機関の負担が大きなものとなっている実態が明らかになりました。

 では、このような院内暴力に対してどのような対策をしていけばいいのでしょうか。
 まず、最初に確認していただきたいことは、医療機関における患者からの暴力や暴言についても、法的にはすべて通常の社会生活における暴力や暴言と基本的に異なることはないということです。
 したがって、一般社会で許されない行為は当然、医療機関でも許されるものではありません。
 すなわち、一般社会でその行為が犯罪として構成されるもの、たとえば胸ぐらを掴まれるなどの暴力をふるわれたが怪我をするまでもなかったものについては暴行罪(刑法208条)が成立しますし、患者の暴力によって医師の先生方や他のコメディカルが怪我をした場合には傷害罪(刑法204条)が成立することになります。患者の暴力によって、院内の什器備品を破壊した場合は、器物損壊罪(刑法261条)が成立します。
 また、暴言の中でも、医療従事者に対して身体の危険を与えるがごとく(たとえば「殺すぞ」など)等の言辞を弄した場合、脅迫罪(刑法222条)が成立することになります。

 このように、医師の先生方におかれては、まずかような患者からの暴力、暴言について、一般社会で許されないものについては犯罪行為であるということを是非認識していただきたいと思います。
 したがって、かような暴行や暴言を受けた場合には、自分一人で解決しようとせずに、警察や弁護士に早急に相談されることをお勧めいたします。これらは犯罪であり、また民事上は医療機関が患者に対して損害賠償請求(治療費、慰謝料や治療中断による逸失利益など)をすることができるものであり、法的な対応が必要となってくるものです。
 患者との関係で法的な対応まですぐにはしづらいといわれる医師の先生方もいらっしゃいますが、その対応を誤ると取り返しのつかない被害を被ることにもなりかねないので、是非弁護士や警察などの専門家に相談していただきたいと思います。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2014-02-20 09:00