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by 弁護士 赤井勝治

医療事故が起こってしまった場合の患者さんへの説明について(2)

 前回に引き続き、医療事故が起こってしまった場合の患者さんへの説明について述べていきます。
 今回は、医療事故について、医師側の過失の有無が明らかでない場合からです。

 医師側の過失の有無が明らかでない場合でも、できる限り早期にカルテ等を開示して事実経過を説明すべきでしょう。
  その際に注意すべきことは、「その時点で判明している事実経過」のみを説明すべきであり、「推測」を述べることは厳に避けるべきであるということです。事故直後であればあるほど不明な点が多く、その時点での推測が事実と乖離していたことが後日判明することは往々にしてあることです。また、医師側が専門家の立場から「可能性」として説明した「推測」を、素人である患者さん側が「事実」と誤解してしまうことも十分にあり得ることであり、トラブルの原因になってしまうことがあります。そして、「一貫した説明」を心がけてください。「昨日と今日で言っていることが違う。」とか「言っていることとカルテに書いてあることが違う。」というでのは患者さん側の不信感を強めてしまいます。
  事故の原因(とくに死因)について説明を求められることがあるかもしれません。その時点で考えうるものを説明せざるを得ませんが、①本来、死因は解剖や医学的検証を行ったうえで特定されるものであること、②それゆえ、後日、死因に関する回答が変更される可能性があることを明示しておく必要があるでしょう。
  また、患者さん側から法的責任の有無を問われることも考えられるところです。
過失の有無が明らかでない以上、この時点で法的責任の有無も明らかではありません。
  さらに、この時点で、患者さん側から謝罪を求められることがあるかもしれません。この時点では過失があったか否かが明らかではないのですから、「ミスがあった。」と患者さん側に誤解されるような発言(たとえば、「申し訳ありませんでした。」など)は厳に慎むべきでしょう。調査・検討の結果、過失がなかったと判定された場合、「当初はミスを認めていたじゃないか。」と患者さん側から追及されるおそれがあるからです。「最善の努力をしたつもりですが、このような結果になり残念です。」という程度にとどめておくべきでしょう。
なお、こうした説明をされた場合には、カルテや看護記録にその内容(説明内容のみならず、日時場所、説明者・同席者・患者さん側の出席者の氏名など)を記載しておくことが必要です。その際、「事実」として説明された部分と「推測」として説明された部分を区別して記載することが重要です。

 医療事故について、医師側の過失があきらかな場合は、できる限り早期に、事実経過やミスの内容を説明して、謝罪するのが肝要と考えます。
示談交渉も早期に開始すべきであり、交渉は当該事故に関係する医療行為を行った個人にまかせてしまうというのではなく、「病院」「医院」として行う(大きい組織の場合には、事務長等が窓口ということになるでしょう。)べきでしょう。
 交渉が難航しそうな場合には、早期に弁護士に相談させることをお勧めします。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2014-02-13 09:00