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by 弁護士 赤井勝治

医療事故が起こってしまった場合の患者さんへの説明について(1)

 10年ほど前のことになりますが、「医療事故市民オンブズマン・メディオ」という団体が、医療事故被害者(その家族や遺族も含まれています。)を対象に、医師や医療機関に対して法的行動を起こした動機などを分析するためにアンケート調査を実施したことがありました。
 そのなかで、「法的行動をとった理由」という項目があり、「怒りを感じたから」(97.4%)、「過誤を認めさせたかったから」(97.3%)、「納得のいく説明が欲しかったから」(96.5%)というのが上位3項目であり、「医師に仕返しをしたかったから(こちらの気持ちにまったく配慮してもらえなかった)」は44.5%、「経済的補償がほしかったから」は37.9%という結果でした。
事故後の対応の不十分さ・不誠実さや、インフォームド・コンセント不足が患者さん側を法的行動にまで至らせてしまう大きな原因となっているのではないかと考えられます。

 上記のアンケート結果をまつまでもなく、医療事故が起こってしまった場合に医師側がまず行うべきことは患者さん側への説明といえるでしょう。
もっとも、医療事故が起こってしまった場合といっても、①医師・医療機関側に過失があきらかにない場合、②過失の有無が明らかでなく調査・検討を要する場合、③過失があきらかな場合、それぞれの場合における患者さん側への説明のあり方は異なってくるのではないでしょうか。

 医療事故について、医師側に過失があきらかにない場合、患者さん側との信頼関係を維持し、その後の無用のトラブルを回避するために、できる限り早期に事実経過を説明すべきでしょう。その際には、当該医療事故が不可抗力であったことを明示する必要があります。
事実経過を説明する際にはカルテ等の記録を積極的に開示して患者さん側に疑念(「ミスがあったのに、それを隠しているのではないか」)を抱かれないような配慮をすべきでしょうし、また、不可抗力であったことを説明する際には医学文献を示し、素人である患者さん側に理解できるように、分かりやすい言葉遣い・表現を心がけるべきでしょう。
なお、最近では、患者さん側から、文書による説明や説明会の開催を求められることがあります。信頼関係を維持するという観点からはこれに応じるべきであると考えられますが、説明文書を作成される際には、後日のトラブルを回避するために、医学的観点のみならず法律的観点からもよくよく検討されることをお勧めします。また、説明会に患者側の代理人(弁護士)が立ち会われる場合には、医師側の代理人(弁護士)も立ち会う方がよいでしょう。

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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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by motomame | 2014-02-06 09:00