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by 弁護士 赤井勝治

クレーム対処法について(1)

今回は、今までの経験を踏まえて、患者さんからクレームが来たときの対処法を書いてみたいと思います。
 患者さんからのクレームといっても、様々なものがあります。治療内容の不満、治療内容についての説明不足、看護師の対応について、または待合室での待ち時間の長さなど様々です。

 ここでは、特に対応をしっかりとしておかなければならない治療内容の不満、治療方針、内容についての説明不足について、どのように対処すればよいかをお話ししたいと思います。

1 治療内容の不満について
 治療内容の不満についても様々なものがあります。十分な治療をしてもらえなかった、治療の結果、症状が好転しない、さらには残念ながら間違った治療をしてしまった場合、等です。

2 よくお話を聴いていただきたい
 まず、医師の先生方にしていただきたいのは、患者さんからの不満については十分話を聴いてあげることです。私たちに相談に来られる患者さんは、医師が話を余り聴いてくれなかったといわれることが少なからずあります。医師の先生方は診療でお忙しいと思いますが、患者さんにきちんと向き合って、よく話を聴いてあげてください。なお、お話を聴かれる際には、後で言った言わないという争いを避けるため、患者さんの承諾を得た上で、録音をしながらお聴きになると良いでしょう。

3 お話しを聴かれた後の対応~即時の対応は禁物
 患者さんのお話を聴いてあげて、内容が診療方法にかかわることではない場合、患者さんに感謝の意を表された上で、改善すべきところは改善するようにされ、今後の経営の役に立ててください。
 内容が診療方法にかかわることである場合、その場ですぐに対応をされるのではなく、後日にどのように対応するか連絡させていただくとして、一旦終えていただきたいと思います。
 その場で、たとえば患者さんの言い分を感情的に否定されたり、また、言い分を全て認めてしまいますと、後で、その行動が問題を生じさせてしまいます。
 感情的に否定された場合、患者さんはさらに感情的になって、医師に対してクレームをつけてくるし、また患者さんのまわりの方にも医師について感情的な発言をしてしまう可能性が出てきます。
 また、全面的に認めてしまった場合、後で、医師に非がないことがわかっても、認めたことを前提に、何らかの金銭的請求をしてくるかも知れません。
 いずれにしても、短絡的な対応は禁物です。
 患者さんが帰った後、医師の先生方は、自身の診療方法が妥当であったか否か検討していただきたいと思います。このときは先生方のご専門である医学的にどうなのかということを考えていただければ結構です。

4 できたら弁護士に相談してみる
 しかし、最終的に、患者さんとの紛争が法的紛争となるか否かは、医師が診療義務を果たしていたか否かという法的判断になります。この点については、法律理論や過去の裁判例などを検討する必要がありますので、我々弁護士に一度ご相談いただく事をおすすめいたします。
 最近は、インターネットでもいろいろと医療紛争の情報などが掲載されております。しかし、これはあくまでも一般的なものであり、また弁護士などの法律専門家が作成していないものもあり、我々弁護士から見て、間違った知識が掲載されている事も少なくありません。
 では、どのような弁護士に相談すればよいでしょうか。
 医師の先生方と違って、弁護士はあまり専門分化していません。たとえば離婚専門の弁護士や、不動産関係を専門的に取り扱う弁護士はほとんどいません。たいていの弁護士は、離婚もやるし、不動産もやるし、損害賠償請求もやるし、さらには倒産事件も刑事事件も取り扱っています。

 医事紛争についてはどうでしょうか。
 医事紛争についても、基本的には損害賠償請求やそれに対する対応であり、一般的に弁護士が取り扱えないわけではありません。
 しかし、医事紛争は、弁護士の事件の中でも専門的な知識が要求される分野です。過去の裁判例についても相当蓄積されており、それらをある程度理解していることが必要ですし、また厚生労働省の通達の理解なども必要な場合があります。したがって、できれば、医療機関特有の法的問題についてある程度慣れている弁護士に相談される方がよいと思います。

 次回は、治療方法や方針などの説明不足について、お話ししたいと思います。


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 執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)

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by motomame | 2014-01-23 09:00