医師・医療従事者・医療機関の方々に対する法律事務所からの情報発信です。赤井・岡田法律事務所HP: http://www.akai-okadalaw.com


by 弁護士 赤井勝治

医師賠償責任保険について(2)

医賠責についてご存知ですか?ー免責金額の定めについて

 日医医賠責保険に加入されている先生方は、お手元にある契約書類を確認してみてください。そこには、免責金額が100万円である旨の説明書きがあると思います。これは、損害賠償額が100万円を超えた場合に、その超えた部分について保険金が支払われることを意味します。たとえば、発生してしまった医療事故について患者さん側と示談が成立し、その額が80万円であったとすると、この保険では補償されず、全額自己負担となるのです。
    そこで、この免責金額部分をカバーするため、医師の先生方は、たとえば京都府医師会が発足させた「京都府医師会100万円保険」など、別の医師賠償責任保険に加入するのが現状のようです。なお、こうした別の医師賠償責任保険に加入すると、日医医賠責保険が適用されない施設の使用・管理上の事故による損害についても補償を受けることができるようになります。

 医賠責についてご存知ですか?-示談交渉サービスがないことについて

 病院賠償責任保険に加入されている先生方は、お手元にある「重要事項説明書」などの契約書類を確認してみてください。そこには、「示談交渉サービスは行いません。」「この保険には、保険会社が被害者の方との示談交渉を行う『示談交渉サービス』はございません。従いまして、この保険が適用されると考えられる事故が発生した場合には、弊社の担当部署からの助言に基づき、お客様(被保険者)ご自身に被害者の方との示談交渉を進めていただくことになりますので、あらかじめご承知置きください。」「保険会社の承認を得ないでお客様側で示談をされた場合には、示談金額の全部または一部を保険金としてお支払いできない場合がございますのでご注意ください。」などの説明書きがありませんか?

    たとえば自動車を運転中歩行者を轢いてしまったというような交通事故を起こしてしまった場合、運転者が任意保険に加入していると、被害者側との交渉などはその保険会社の担当者や保険会社の顧問弁護士などが行ってくれることになっています。交渉がまとまらず裁判などに発展した場合も同様です。「示談交渉サービス」というのはこうしたサービスのことをいいます。
    しかし、上記の説明書きをみると、医療事故が発生してしまった場合、そうした「示談交渉サービス」はありませんと明記されています。すなわち、万が一医療事故が発生してしまった場合、その医師の先生方が病院賠償責任保険に加入していても、患者さん側との交渉を保険会社がその医師の先生方の代わりにしてくれるわけではないのです。その医師の先生方(あるいは病院長などの開設者・管理者)が自分自身で患者さん側と交渉するか、そうでなければ、自分で代理人となってくれる弁護士を探して依頼をし、その弁護士に交渉をしてもらわなければならないのです。
    しかも、保険会社と相談することなく示談などをしてしまうと、たとえ弁護士が間に入って成立した場合であっても、補償が受けられなくなってしまうおそれがあると説明書きには書いてあるのです。

    医療事故に限らず、およそ事故が発生してしまった場合、早期の適切な対応が双方にとって良い結果をもたらすことはあらためて指摘するまでもないことですが、日ごろ患者さんへの対応に追われている医師の先生方にとって、医療事故が発生してしまった場合に、患者さん側との直接対応のみならず保険会社とも同時並行的な対応を余儀なくされるというのは大変な労苦を伴うでしょう。万が一医療事故の当事者になってしまった場合には、早めに弁護士に相談されることをお勧めいたします。


 赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地 オクムラビル2階
     TEL(075)257-6033
     FAX(075)212-3670
HPhttp://www.akai-okadalaw.com
 執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)

[PR]
by motomame | 2014-01-16 09:00