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by 弁護士 赤井勝治

医療事故が起こった場合の概略(1)

  今回は、前回に予告させていただいたとおり、医療事故が起こってしまった場合の医師の先生方の責任について、概略を見ていくことにします。

 まず、前回の続きになりますが、医師の先生方は、日々の診療に際し、特に意識しておられなくても、患者さんとの間で、日々、診療契約を締結されています。
 「契約」というと、売主と買主が契約書に署名する不動産の売買契約などをイメージされる方が多いかもしれませんが、「契約」はこのようなものに限られません。誤解を怖れずに簡明化すれば、「契約」とは、要するに、約束の取り交わしであり、約束をした内容に法的に拘束されるものです。
 ここに「法的に拘束される」とは、約束の内容を守るよう相手方に求めることに正当な根拠があると認められ、究極的には、約束を守らない相手方に対して裁判所が約束を守るように、あるいは約束を守らないことに対するペナルティを与える旨の判決を下してくれるということです。
 そして、契約は契約書などを作らなくても、最低限、お互いの言動などからして双方に約束をする意思があったものと認められる場合であれば成立します。

 これを診療契約に即して言えば、次のようになります。
 患者さんが病院の受付窓口で診察の申込をすれば、その申込には、病気の診察・治療を依頼し、その対価として治療費を支払うという意思が含まれているものと認められます。そして、これを受けて医師の先生方が患者さんの診察を始めれば、患者さんの求めに応じて病気の診察・治療を行うことを了承し、その対価として医療費の支払いを求める意思があると認められ、この時点で約束の取り交わしがあったとして診療契約が成立します。
 約束(契約)の内容は、医師の先生方が患者さんの病気を適切に診察・治療し、その対価として患者さんから医療費の支払いを受けるというものです。
 
 このように診療契約が成立していることから、医療事故が起こった場合、患者さんから、医師の先生方が適切に診察・治療するという約束を守らなかったとして、責任を追及される可能性があります。すなわち、医師の先生方の行った診察・治療が適切でなく、その結果、患者さんに損害(例えば後遺症が残った、亡くなってしまった等)が発生したとして、その損害を賠償するよう請求される可能性があります。
 また、何人も、不注意(過失)により他人に損害を与えた場合には、その損害を賠償する責任を負うものとされています。医師の先生方の行った診察・治療が適切でなかった場合には、それは同時に不注意があったということに他ならず、この面からも、患者さんから、損害を賠償するよう請求されることになります。

 これが、民事上の責任と言われるものです。
 通常は、患者さんから損害賠償を請求され、争いがある場合には、裁判(民事裁判、いわゆる医療過誤裁判)へと発展していくことになります。


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 執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)

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by motomame | 2013-12-19 09:00