ハランスメントについて(4)

 使用者は、労働契約法で、労働者が労働するにあたって、その生命、身体等の安全を確保するよう配慮すべき義務が定められています。
 そして、その具体的な内容の一つとして、労働者にとって働きやすい環境の職場を保つよう配慮する義務が、使用者にはあるものと考えられています。

 近時の裁判例では、職場におけるパワー・ハランスメントを防止する義務に言及するものも見られるようになってきました。

 また、セクシャル・ハランスメントについては、雇用機会均等法が、職場における性的言動によって労働者が不利益を受けたり、就業環境が害されることがないよう雇用管理上必要な措置を講じなければならないと定めています。
 そして、厚生労働省から、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」というものが出されています。

 この指針では、事業主がすべき配慮について、次のように定められています。
① 事業主の方針を明確化し、その周知・啓発をすること
 例えば、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のために職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する事項を記載し、配布することなどです。
② 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること
 例えば、相談・苦情に対応する担当者をあらかじめ定めておくことや、苦情処理制度を設けることなどです。
③ 職場におけるセクシュアル・ハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応をすること

 そのほか、職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する情報が当該労働者等のプライバシーに属するものであることから、その保護に特に留意する必要があります。また、相談をし、又は苦情を申し出たこと等を理由として当該労働者が不利益な取扱いを受けないよう特に留意する必要があります。

 さらに、マタニティー・ハランスメントについては、雇用機会均等法及び育児・介護休業法により、女性労働者の妊娠・出産・育児休業等を理由に解雇その他不利益な取扱を禁止しています。

 また、これらの法律により、事業主は、上司・同僚などが職場において、妊娠・出産・育児休業等を理由として就業環境を害する行為を行わないよう防止措置を講じなければならないとされています。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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# by motomame | 2016-12-01 09:00

ハランスメントについて(3)

 セクシュアル・ハラスメントについては、男女雇用機会均等法で、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けること(対価型)、及び当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること(環境型)と定義されています。

 ここに「性的な言動」とは、性的な内容の発言や行動を言います。

 上記の対価型は、職場内において使用者が労働者に対して性的な関係を要求したところ、拒否されたために当該労働者を解雇する場合など、意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が労働条件等で不利益を受けることです。

 環境型は、労働者が抗議しているにもかかわらず、職場内にヌードポスターが掲示され、そのために当該労働者が苦痛に感じ、業務に専念できない場合など、意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなり、当該労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じることです。

 そして、どのような場合に違法な侵害があったと言えるのかは、セクシャル・ハランスメントの場合も、社会通念からみて相当性を逸脱しているか否かの観点から判断されることになります。

 マタニティー・ハランスメントについては、①職場における女性に対する妊娠・出産・育児休業等を理由とする解雇等の不利益取扱、及び②職場における女性の妊娠・出産・育児休業等について、身体的・精神的苦痛を与えることや就業環境を害する言動の2つの類型があるとされています。
 上記①は、「事業主」を名宛人とし、②は、事業主だけでなく、上司や同僚も名宛人としています。

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# by motomame | 2016-11-24 09:00

ハランスメントについて(2)

 前回のパワー・ハランスメントの続きです。

 本来、労働者には保護されるべき権利や利益があります。
 まずは、生命、身体の安全、名誉、プライバシーなどが保護されるべきであることは異論のないところだと思います。
 また、良好な環境で、快適に仕事をする権利や利益も保護されるべきものとされています。
 さらに、職場における自由な人間関係を形成する権利や知識、経験、能力と適性に相応しい処遇を受ける権利も、保護されるべきものと考えられています。

 これらの保護されるべき労働者の権利や利益が違法に侵害された場合には、労働者は、損害賠償請求等を行使することができます。

 ただ、他方で、労働者には、使用者の適正な範囲内での業務命令には従う義務があますので、例えば、ミスをした部下に対して上司が注意や叱責をすることは、適正な職務執行として一定程度は許容されます。

 そして、どのような場合に違法な侵害があったと言えるのかは、結局のところ、ケースバイケースということになり、その際の判断基準は、「社会通念に従って」という曖昧なものにならざるを得ません。

 そんな中でも、最も判断が微妙になるのが、人事権の行使という形でパワー・ハランスメントが加えられた場合です。
 ここでは、この場合を例にとって、具体的に考えてみることにします。

 まず、問題となった業務命令等が、業務上の必要性に基づいていない場合には、違法な侵害があったと言えるでしょう。
 また、一見、外形上は業務上の必要性があるように見える場合でも、その業務命令等が退職を強要する目的などの不当な動機や目的に基づいてなされている場合にも、違法な侵害があったと言えるものと考えられます。
 さらに、業務上の必要性があり、不当な動機や目的に基づいていなくても、その業務命令等が労働者にとって通常甘受すべき程度を超える不利益を与える場合には、やはり違法な侵害があったと言えるものと考えられます。

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# by motomame | 2016-11-17 09:00

ハランスメントについて(1)

 医療機関(病院)は、ハランスメントの発生率が高い職場と言われており、ハランスメントの温床とも言われることがあります。
 その理由としては、医療機関(病院)においては、医局と事務局という二重の指示系統があるなどその指示系統が複雑であることや女性の従事者が多いこと等があげられています。

 ハランスメントには、パワー・ハランスメント(パワハラ)、セクシャル・ハランスメント(セクハラ)、マタニティー・ハランスメント(マタハラ)などがあります。

 そして、法律的には、これらのハランスメントがあった場合には、ハランスメントを加えられた者(被害者)から、ハランスメントを加えた者および医療機関(病院)に対して、損害賠償請求等の請求をなされるおそれがあります。
 今回は、これらのハランスメントについて、取り上げてみたいと思います。

 パワー・ハランスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいうとされています。
 これは、上司がその地位や権限を濫用して、部下の人格や利益を損ねるものであり、職場内における人格権侵害の一つと捉えることができます。

 典型的なものとしては、暴力、言葉等による人格否定・名誉毀損・侮辱、仕事外し・仲間外し・無視、無意味な作業や過度な業務の強要、見せしめや報復としての降格・配転などがあります。

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# by motomame | 2016-11-10 09:00

感染性廃棄物の処理について(4)

 医療関係機関等は、発生した感染性廃棄物を自ら処理する場合は、施設内の焼却設備で焼却、溶融設備で溶融、滅菌装置で滅菌又は肝炎ウイルスに有効な薬剤又は加熱による方法で消毒することにより、感染性を失わせなければなりません(感染性を失った処理残渣等は、非感染性廃棄物として処理できることになります)。

 一方、焼却設備、溶融設備、滅菌装置を有していない場合、消毒を行うことのできない場合、焼却設備を有しているが焼却炉の性能等から効果的な処理が期待できない場合、完全に感染性を失わせる処理が行われていない場合、周辺の生活環境の保全上焼却設備を稼働することが好ましくないと判断される場合等には、特別管理産業廃棄物処分業者等に委託して処理しなければならないとされています。

 そして、医療関係機関等は、感染性廃棄物の処理を自ら行わず他人に委託する場合は、法に定める委託基準に基づき事前に委託契約を締結しなければなりません。

 医療関係機関等は、感染性廃棄物の処理を他人に委託する場合、感染性廃棄物を引き渡す際に、定められた様式による産業廃 棄物管理票(以下「マニフェスト」という)に必要な事項を記入して交付しなければならないされており、マニフェストの交付に代えて、電子マニフェストを利用することもできるとされています。

 また、医療関係機関等は、感染性廃棄物が最終処分まで適正に処理されたことを、処理業者から返送されるマニフェストの写しにより確認しなければなりません。

 さらに、医療関係機関等は、前年度に交付したマニフェストに関する報告書を作成し、都道府県知事に提出しなければならないとされています。

 のみならず、医療関係機関等は、定められた期間内にマニフェストの写しの送付を受けないとき、返送されたマニフェストの写しに規定された事項の記載がないとき又は虚偽の記載があるときは、速やかに当該感染性廃棄物の処理状況を把握し、適切な措置を講じなければなりません。

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# by motomame | 2016-10-27 09:00