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by 弁護士 赤井勝治

相続について(6)

 実際に相続が発生した場合、法定相続人は、まず、相続放棄が必要か否かを検討する必要があります。

 そのためには、遺産が債務超過になっているかどうかを確認しなければなりません。
 ここに債務超過というのは、簡略化して説明すると、亡くなった方が生前に借金をしておられ、残されたプラスの財産よりもその借金(マイナスの財産)の方が多いような状態をいいます。

 相続というと、一般にはプラスの財産だけを引き継ぐだけのように思われる方もおられますが、プラスの財産と同じように、マイナスの財産(借金)についても引き継ぐことになります。

 債務超過、すなわち借金の方が多い場合には、財産を引き継いでも、結局はそれを超える金額の借金を返済しなければならないわけですから、相続放棄することを検討しなければなりません。
 借金の方を多く支払ってでも特定の財産を引き継ぎたいような場合など特別な事情のある場合を除けば、通常は、相続放棄をすることになるでしょう。

 この相続放棄については、単に放棄しますと宣言するだけでは駄目で、家庭裁判所において、所定の手続きをしなければなりません。
 具体的には、家庭裁判所に、相続放棄の申述書という書類を提出して受け取ってもらう必要があります。

 そして、この相続放棄については、することのできる期間が定められています。
 その期間は、相続の開始があったことを知った時から3が月以内です。
 意外と期間が短いので、注意が必要です。

 ただし、借金や財産の金額が不明で、借金が財産を上回っているのかどうかが分からない場合には、その調査のために、家庭裁判所に申立てをして、この3か月という期間を延長してもらうことができます。
 これを「期間伸長の申立て」といいます。

 なお、相続開始後、相続放棄をする前に、遺産の全部または一部を処分するなど(たとえば、預貯金を引き出して使う等)してしまうと、後日、相続放棄ができなくなるおそれがあるので、注意が必要です。

 この相続放棄のほかに、プラスの財産が借金を超える部分だけを相続する「限定承認」という制度もありますが、相続人全員で行う必要があるうえ、その手続きが煩雑であるため、ほとんど利用されていません。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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# by motomame | 2017-01-19 09:00

相続について(5)

 前回の法定相続分の続きです。

 配偶者とその他の相続人がいる場合の最後として、配偶者以外に第1順位と第2順位の者が一人もおらず、兄妹姉妹がいる場合には、配偶者の法定相続分は4分の3で、兄妹姉妹は4分の1です。

 兄妹姉妹が複数いるときには、この4分の1を分け合うことになります。

 たとえば、ある男性が亡くなって、その妻と兄、姉がいる場合には、相続分は配偶者が4分の3、兄と姉はそれぞれ8分の1ずつとなります。

 なお、兄妹姉妹の相続分については、亡くなった者と父母の一方のみが同じ兄弟姉妹は、父母の双方が同じ兄弟姉妹の半分になります。

 たとえば、ある男性が亡くなって、その妻と姉、弟がいる場合で、かつ、姉は亡くなった男性と父母が同じで、弟は父のみ同じという場合の相続分は、配偶者が4分の3、姉が12分の2(1/4×2/3)、弟は12分の1(1/4×1/3)になります。

 次に、配偶者がいない場合ですが、その場合、同一順位の相続人が一人しかいなければ、その者がすべてを相続することになります。

 同一順位の相続人が複数いるときは、原則として、その頭数によって等分することになります。
 これが等分とならない場合については、既に子及び兄弟姉妹のところで説明したとおりです。

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# by motomame | 2017-01-12 09:00

相続について(4)

 法定相続人にあたる者が誰かが判明すれば、つぎに、法定相続人の法定相続分について考える必要があります。

 法定相続分というのは、法律上あらかじめ定められている相続割合、すなわち「取り分」のことをいいます。

 まずは、配偶者とその他の相続人がいる場合の配偶者の相続分から見ていきましょう。

 配偶者以外に第1順位の子や孫がいる場合、配偶者は2分の1です。
 たとえば、ある男性が亡くなって、その妻と子が一人いれば、相続分はそれぞれ2分の1ずつとなり、妻と二人の子がいれば、妻が2分の1、子はそれぞれ4分の1ずつとなります。

 このように、配偶者は常に2分の1で、子が複数いれば、残りの2分の1をその頭数で等分することになります。

 この点、従来、民法では、「嫡出でない子」(戸籍上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子)の相続分を、「嫡出子」(戸籍上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子)の相続分の2分の1と定めていました。
 しかし、これが改正され、平成25年9月5日以後に開始した相続については、「嫡出でない子」の相続分が「嫡出子」の相続分と同等になりました。

 つぎに、第1順位の子や孫がおらず、第2順位の直系尊属がいる場合には、配偶者の法定相続分は3分の2です。
 たとえば、ある男性が亡くなって、その妻と父親がいれば、相続分は、配偶者が3分の2、父親が3分の1となります。
 妻と父母がいれば、妻が3分の2、父母がそれぞれ6分の1ずつとなります。

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# by motomame | 2017-01-05 09:00

相続について(3)

 前回の法定相続人にあたるのは誰かの続きです。

 法定相続人の第2順位は、父母や祖父母であり、これらの者を「直系尊属」と呼びます。
 なお、父母のうちの一名でも存命であれば、祖父母は相続人にはなりません。

 第3順位は、兄妹姉妹(けいていしまい)、つまり「きょうだい」です。
 この兄弟姉妹については、相続開始時(兄妹姉妹の一人が亡くなったとき)に、すでにこれを相続する兄妹姉妹が亡くなっている場合には、その子、すなわち、甥や姪が相続人となります。

 ただし、子の場合と異なり、兄弟姉妹についてはこの甥や姪までで、この甥や姪が亡くなっている場合、その子は相続人にはなりません。
 兄弟姉妹の代襲相続は甥や姪までとなります。

 そして、ここからが誤解されていることの多い点なのですが、この第1順位から第3順位までの相続人については、上位順位者が一人でもいれば、下位の順位者は相続人にはなりません。

 たとえば、子が一人でもいれば、その子だけが相続人になり、父母や兄妹姉妹は相続人にはなりません。

 具体的な例としては、ある男性が亡くなって、その妻と子が一人いれば、法定相続人は、その妻と子のみであり、父母や祖父母、兄妹姉妹がいても、それらの人たちは相続人にはなりません。

 ここまでを簡単にまとめますと、夫や妻は常に相続人となります。
 そして、子がいればその子だけが相続人となります。
 その子がすでに亡くなっていて孫がいる場合にはその孫が、孫がすでに亡くなっていてひ孫がいる場合には、そのひ孫が相続人となります。
 子や孫が一人もいなければ、父母が相続人となります。
 父母が二人ともすでに亡くなっていれば、祖父母が相続人となります。
 そして、子や孫が一人もおらず、父母や祖父母も全員亡くなっている場合には、兄妹姉妹が相続人となります。
 その兄妹姉妹がすでに亡くなっていれば、甥や姪が相続人となります。

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# by motomame | 2016-12-22 10:00

相続について(2)

 最初に、法定相続人にあたるのは誰かを考える必要があります。

 法定相続人とは、法律上、相続人であるとして定められている者で、推定相続人と呼ぶこともあります。

 この点は、意外と誤解されている方がおられ、実は相続人にあたらない方が自分は相続人だと思っておられる例が散見されます。

 まず、夫や妻(これを配偶者といいます)は、法律上、常に相続人になります。
 籍を入れていない内縁関係にあるだけでは、世間一般には夫や妻と呼ばれていても、相続人にはなりません。

 配偶者以外については、第1順位から第3順位までの順位をつけて、相続人になる者が定められています。

 第1順位は「子」です。
 血のつながりのある「実子」だけでなく、養子縁組をした戸籍上の「養子」も含みます。

 もし、親が亡くなって相続が開始したとき、すでに子が亡くなっている場合には、その子、すなわち孫が相続人になります。
 そして、孫も亡くなっていれば、ひ孫というように制限なく下へ下へと降りていきます。
 これを「代襲(たいしゅう)」相続と呼びます。

 このような代襲相続がおこる原因としては、本来であれば相続人になるはずである子の死亡だけでなく、その子が「欠格」や「廃除」といった法律上の制度によって相続資格を失った場合も含まれます。

 ただし、その子が相続放棄をした場合は含まれません。
 すなわち、本来ならば相続人になるはずである子が相続放棄をした場合には、その子(孫)は相続人にはなれません。

 なお、ここでは詳しくは触れませんが、「欠格」とは、一定の事実がある場合に法律上当然に相続資格を失う制度であり、「廃除」とは、被相続人の意思によって相続資格を失わせる制度で、いずれも民法に規定がおかれています(891条~893条)。

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# by motomame | 2016-12-15 09:00