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by 弁護士 赤井勝治
 それでは、「法定相続情報証明制度」の概要について解説します。

 まず、戸籍関係の書類を集めなければならないのは従来と同様です。

 次に、集めた戸籍関係の書類に基づいて、「法定相続情報一覧図」を作成することになります。

 従来と異なるのは、公式のフォーム(書式)で作成することが求められています。

 具体的には、①法定相続人が配偶者および子である場合、②法定相続人が子のみである場合、③法定相続人が配偶者および親(父母)である場合、④法定相続人が配偶者および兄弟姉妹である場合、⑤代襲相続が生じている場合、⑥父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹がいる場合に分けて、

法定相続情報一覧図の様式および記載例が、法務局のHP上(http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html)で公開され、エクセルのデータとしてダウンロードできるようにされています。

 従来の「相続関係図」は、各申請窓口の担当者がチェックを行っていましたが、「法定相続情報一覧図」は法務局の登記官がチェックを行います。戸籍の束を提出しなければならない点は従来と同様です。

 相続人が特定されていることの確認がなされれば、認証文付きの法定相続情報一覧図の写しが交付されます。
 法定相続情報一覧図の写しの交付それ自体には費用はかかりません(郵送料は別途かかります)。

 被相続人名義の不動産がない場合(たとえば、遺産が銀行預金のみの場合)でも利用することが可能で、法定相続情報一覧図の写しは、相続手続に必要な範囲で、複数通交付を受けることが可能です。

 また、提出された法定相続情報一覧図は、登記所において5年間保管され、その間は、法定相続情報一覧図の写しの再交付を求めることが可能です。ただし、再交付を申し出ることができるのは、当初、一覧図の保管等申出をした申出人に限られ、他の相続人が再交付を希望する場合には、当初の申出人からの委任が必要とされています。

 なお、相続情報証明制度は、被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、戸除籍謄抄本を提出することができない場合は利用することができません。

 また、被相続人の死亡後に子の認知があった場合や、被相続人の死亡時に胎児であった者が生まれた場合、法定相続情報一覧図の写しが交付された後に廃除があった場合など、被相続人の死亡時点に遡って相続人の範囲が変わるようなときは、当初の申出人は、再度、法定相続情報一覧図の保管等申出をすることができます。

  赤井・岡田法律事務所
京都市中京区新椹木町通竹屋町上る西革堂町184番地
                  オクムラビル2階
        TEL(075)257-6033
        FAX(075)212-3670
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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# by motomame | 2017-06-22 09:00
 「法定相続情報証明制度」の概要を解説する前に、これまで、相続登記をはじめとする相続手続を各種窓口で申請するために、どのような作業が必要とされていたのかを説明しておきます。

 まず、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類(戸籍・除籍・改製原戸籍の謄抄本や住民票の写しや住民票の除票など)を集めます。
 
 相続人を特定するためには、被相続人のすべての戸籍関係の書類を漏れなく確認する必要があります。
 戸籍は、被相続人が生まれてから結婚による分籍や転籍、戸籍のコンピュータ化による改製などにより、複数種類にわたる場合が少なくありません。養子縁組や離縁などの身分行為がある場合も同様です。
 市区町村役場で戸籍謄本を請求する際には、あらかじめ、相続手続きに必要なため、被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸籍関係の書類が必要であることを伝える必要があります。

 なお、「所有者不明土地」とはなっていないまでも、何代にもわたって相続登記がなされていないというケースもあり、何世代も前の「被相続人」を起点にして、民法(ケースによっては旧民法)の定める法定相続人すべての戸籍関係の書類を集めなければならなくなり、多大な労力と費用がかかる場合もあります。

 次に、集められた戸籍関係の書類に基づいて、「相続関係図」を作成します。この相続関係図には、被相続人の氏名、最後の住所、生年月日・死亡年月日のほか、法定相続人の氏名、住所、生年月日および続柄が記載され、文字通り、被相続人の相続関係が一覧できるようになっています。

 ただし、公式のフォーム(書式)はなく、たとえば、弁護士が作成するものであっても、縦書き・横書きなど形式はさまざまです。

 相続手続きは、相続登記であれば法務局、被相続人名義の預金の払戻しであれば銀行等の金融機関の担当窓口ということになります。

 登記申請書や払戻申請書などの必要書類とともに、戸籍関係の書類の原本(「戸籍の束」と呼ばれています。)と相続関係図の提出が求められ、相続関係図の正確性(相続人が特定されているか否か)が逐一チェックされます。
 チェックが終われば、戸籍の束は返却されますが、どの機関でも戸籍の束の提出を求められるので、複数の機関への提出が必要な場合には、複数の戸籍の束を用意するか、提出と返却を繰り返し行うかを余儀なくされます。戸籍関係の書類の中には発行から3か月以内のものという条件が付されているものもあり、期限切れのものについては再調達を余儀なくされることもあります。

  赤井・岡田法律事務所
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執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)
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# by motomame | 2017-06-15 09:00
 不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合、所有権の移転の登記(相続登記)が必要となるのですが、近時、この相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加し、これがいわゆる所有者不明土地問題や空き家問題の一因となっていると指摘されています。

 「所有者不明土地問題」とは、土地の所有者が死亡した後も長期間にわたり相続登記がされず、所有者の所在の把握が困難となってしまい、公共事業に伴う用地取得等に支障を来していることなどをいい、社会的な関心を集めています。

 法務省は、この問題への対応を検討するため、大都市、中小都市、中山間地域などの地域バランスも考慮しつつ、全国10か所の地区(調査対象数約10万筆)で相続登記が未了となっているおそれのある土地の調査を実施し、平成29年6月6日、その調査結果を公表しました。

 調査は、調査対象土地に係る個人名義の所有権の登記がいつされたのかを調査し、その経過年数を把握する手法により行われました。その結果、最後に所有権の登記がされてから50年以上経過しているものが大都市地域において6.6%、中小都市・中山間地域において26.6%となっていることが分かりました。

 この調査結果の公表に先立ち、平成29年5月29日から「法定相続情報証明制度」の運用がはじまりました。
 この制度が、相続登記を促進するために新設されたことは言うまでもありません。

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# by motomame | 2017-06-09 09:30
 前回まで、医療法人のたたみ方について、いくつかの方法を概説してきました。

 それぞれの医療法人の規模や、そのときの状況に応じて、最もふさわしい方法を選択することが肝要です。

 どのような方法によるべきかについては、弁護士に相談されることをお勧めします。

 もっとも、医療法人をたたむにあたっては、弁護士以外の士業(税理士、公認会計士、社会保険労務士など)の協力がかかせません。
 したがって、相談されるのであれば、これらの他士業と密接な連携関係を有している弁護士にされるのがベストです。

 医療法人の廃業に際しては、法人の全ての債務を弁済しても、なお財産が残った場合、この残余財産を理事長が取得できるのかが問題となります。

 この点については、平成18年の医療法改正(施行は平成19年4月1日)により、施行後は「持分の定めのない医療法人」しか設立できなくなったため、解散時の残余財産は、国、地方公共団体等に帰属し、理事長は残余財産を取得できません。

 ただし、上記改正法施行前に設立されていた「持分の定めのある医療法人」については、経過措置により、現時点では、退社時の持分払戻請求権及び解散時の残余財産分配請求権が認められていますので、理事長は、残余財産を取得することができます。

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# by motomame | 2017-06-01 09:00
 事業譲渡とは、医療法人そのものではなく、法人が営んでいる事業のみを第三者に譲り渡す(売却する)ことです。

 医療法人に負債が多いなどの理由で経営がたちゆかなくなった場合でも、法人が行っていた事業自体には価値が認められる場合があります。

 たとえば、医療法人が単一ではなく、いくつかの事業(たとえば複数の病院)を営んでおり、その中に一つだけ採算の取れている事業がある場合、この事業だけを売却できる可能性があります。

 このように事業自体に価値がある場合には、これを相当な対価で第三者に売却し、その代金を法人の任意整理のための費用に充てるなどして、法人をたたむことが考えられます。

 ただし、事業譲渡の場合には、個々の財産や契約上の地位を移転させるため、契約の相手方の同意をとる必要があります。

 このような同意をとる必要のない方法として分割という制度があります。

 平成27年度改正以前の医療法では、医療法人の組織改編としては合併のみが規定されていましたが、改正後は分割も規定されました。

 医療法人の分割には、吸収分割と新設分割の2種類があります。

 吸収分割とは、医療法人が事業の一部を分割後に他の医療法人に承継させるケースを言います。

 新設分割とは、新しく医療法人を作って、ここに分割する事業を承継させるケースを言います。

 ただし、持分の定めのある医療法人は、分割制度の対象とはできないとされていることから、廃業のケースは、ほとんど利用することはないものと考えられます。

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# by motomame | 2017-05-25 09:00